僕のコミックアカデミア

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僕のヒーローアカデミア No.393 『少女のエゴ』感想

※この記事は「僕のヒーローアカデミア No.393 少女のエゴ」のネタバレを含みます。未読の方はご注意ください。

 

【本編】

 回想、トゥワイスが生きてた頃の敵連合。このアジトはマキアとの遭遇時に壊されたプレハブ小屋っぽいので、時系列はその少し前でしょうか。

 死柄木のセリフも吹き出しガビガビだし。犯罪者集団なのに日常パートで安心するの、これぞ連合って感じの居心地の良さだ…。

 

 スピナーたちが「死柄木弔」を本名だと思ってたの、地味に意外。まあ実際「死柄木」はAFOの苗字なのでそう思うのも無理ないですが。

 本人も特に否定しないしもうこれが本名認識なのかな。それともこの頃はまだ「志村転弧」としての記憶を完全に取り戻してないから?

 

 好き勝手にトガちゃんのヴィラン名考えるトゥワイスたち、何か大喜利っぽくなってんな!皆でヒーロー名発表し合ってた1Aのノリ思い出すよ!

 特に上鳴くんに「ジャミングウェイ」とか提案してた耳郎ちゃんが懐かしい。こっちはこっちで正しくアカデミアやってます。

 

 「カーミラ」は同名の女吸血鬼が主人公のホラー小説。

 実在の創作物から名前取るの、ありがちだけどトガちゃんが名乗るにしては仰々しすぎるよな…。

 かといってトゥワイスの「血う血う」もまた別方向の痛々しさがありますがw「ピカちう」に至ってはもろパクリやん!

 

 ヴィラン大喜利を下らねえと吐き捨てる荼毘、そういや正体明かす前はそんなキャラだったなオマエ…!このダウナーな態度も今となっては懐かしい。

 案の定お前が言うなとツッコミ入って安心しました、実際我々読者という名の客がその名前(の由来)に喜んだからな!

 

 弔くん先生によるヒーロー/ヴィラン名講座。これ一説っていうかAFOが実際にしてきた体験じゃない!?ただ本やネットから仕入れただけとは思えない現実味がある。

 あと敵対者への仮称が始まりで自ら名乗り出したって点はもろに「デク」だな…かっちゃんにとっての。

 

 今さら死柄木が他のヴィラン名つけるとは思いませんでしたが、意外に本人も「死柄木弔」って名前気に入ってたりする?

 AFOにとって弔は弟の代替でしかないので文字通り「生き抜く為に被った別人の皮」なわけですが、お前がいいならそれでいーよと思える風格がある。

 

 死柄木からの同意に喜ぶトガちゃん。〝好き〟の対象になりたい彼女が「トガヒミコ」として生きると言ってるのが印象的というか…。

 あくまで自分と他者の間に同一性を求めてるだけで、自我を捨てたい訳じゃないんだなと。存在そのものを別の誰かにしたい訳じゃない。

 

 トゥワイスを「仁くん」、荼毘のことも正体判明後は「燈矢くん」と本名で呼んでたのも腑に落ちました。

 自分自身として生きようとする彼らへのトガちゃんなりの尊重の証だったんだろうと。この仲間意識にまた泣かされる訳ですよ…え?スピナー?

 知らない子ですね…。

 

 トガちゃんの肩に両腕を回すお茶子、これやっぱキスしにいってね!?ただ触れて「無重力」付与するだけだったらここまでホールドする必要ないし!

 前に血を口移しする説見たからそういうフィルターかけて眺めちゃうぜ…別にガチ百合を求めてる訳じゃないんですが。

 

 「結局檻に入れて死刑でしょう…!?」は読者側も薄々思ってたことをハッキリ言ったなあ。事実ムーンフィッシュという死刑囚が存在しますし。

 とはいえ救いを目標に掲げてる作品でヴィランが『ダンサー・イン・ザ・ダーク』のような末路迎えるのは後味悪すぎるよな…。

 

 「仁くんのように」「殺すだけだ!」とトガちゃんは言いますが、ホークスはむしろ彼が再起・更生できるように努めるつもりだったんだよな…。

 と考えるとこれ、お茶子たちの働きかけにより敵連合生存ENDあり得るのでは?トゥワイスと同じ結末迎えさせるとは思えない。

 

 「お互いっ〝当たり前〟だね」と返すお茶子、腹ぶっ刺されたってのにヒーローとしての生命力失わなさが鬼すげえ!

 決戦前にトガちゃんにとっての〝当たり前〟について考えてただけあります。

 今この状況で彼女との間に見出せる共通の〝当たり前〟がそれなんだなと。

 

 「同情じゃないなら」「ただのエゴだ…!!」は堀越先生が仰った「救うも壊すもエゴイズム」を思い出す台詞。

 エゴってそもそも自己、自我って意味なんですよね…自分自身として生きたいトガちゃんがお茶子にこの言葉を使うの、敵に対するある種の尊重が感じられる。

 

 〝我々は大勢であるがゆえに(サッドマンズレギオン)は『ガメラ2 レギオン襲来』で引用された聖書の一節が元ネタか。

 ヒーローに「変身」したトゥワイス群がソルジャーレギオン、トガ本体がマザーレギオン。確かにこれは怪獣の名を冠するに相応しい悍ましさだわ…。

 

 「死ねよ ヒーロー」はやはりトゥワイスの「死ねよホークス」を思い出すセリフ。

 これを偽お茶子たち従えたほぼ全裸のトガちゃんとお出しするの、冷ややかな殺意の鋭さがハンパねえ~…!

 真っ暗闇からぬっとトゥワイス群出てきたのがホラー演出に筆乗りすぎですよ!

 

 レギオンに傾れ込まれる耳郎ちゃんシンインカムイ虎梅雨ちゃんピクシーボブシシド…あとニア・ハイエンドがメジャー巻きつけられて「二倍」で増やすためのデータ取られてる?

 その他のモブヒーローたちは後に死んだと語られても違和感ない追い詰められっぷりだな…。

 

 NHAのお姉さんはトゥルーマイトvs若AFOの方を中継すると思ったんですが、こっちにまだ残ってたか。

 ここで個性終末論を引用してたの、殻木のこれまでが報われた瞬間だな…そんな事言ってる場合じゃないですが。しかしこれほど終末って言葉が似合う光景も中々ない。

 

 お茶子に押し寄せるレギオンはヴィラアカ編で死柄木に「崩壊」させられた解放戦士の群れを思い出す構図。

 これを腹から出血しながらGMAで対処するお茶子、やっぱタフすぎるって!正直ちょっと笑っちゃうレベルだって!苦しそうな表情とのギャップが激しすぎんよ!!

 

 「人を…傷つける為の力じゃないもの……!!」も良い返しだなあ。あなたを落として殺したりしないってトガちゃんへのメッセージにもなってるよねコレ。

 自分の”個性”をどう使うべきか、それを理解してるから相手の強がりにも即返答できる。お茶子らしいブレなさだ。

 

 トガちゃんの「そうならざるを得なかった理由」。実際のところお茶子だけでなく読者もその最後の決定打──つまり斉藤くんを刺した理由は知らないんですよね。

 ここでその示唆がされた辺り、やっぱり斉藤くんを刺すまでの経緯が描かれる可能性はまだあるのでは…?

 

 「あれがお前だろう!!?」に対する「あれも私!」も正しい返答!

 過去の自分の発言をなかった事にしないのが誠実だし、「好きに生きて他人を脅かすなら~」は間違ってはいないのでなかった事にする必要もない。

 その上でトガちゃんと向き合う意志表示として完璧です。

 

 初対面時にお茶子がトガちゃんに感じた恐怖はAFOの言ってた大きすぎる差異→不理解→畏れ、排斥ってやつだなあ。

 吸血衝動の有無という「差異」、その笑顔に対する「不理解」、そこから湧く「畏れ」、そしてヒーローとして捕まえようとする「排斥」…っていう。

 

 ここでまたトガちゃんがトゥワイスを思い出したの、お茶子の言葉が彼に肯定された経験と一部重なったって描写でいい?

 笑顔に対する「純粋」って表現がかつての両親ではなく、「好きなもんなりまくりゃあいい!」と認めてくれた仁くんと同じ肯定の仕方に感じたと。

 

 人々の喜ぶ顔に喜ぶロリお茶子がふと振り返った先──…に俯くトガちゃんがいるの、これ転弧を見つけるショタデクと同じ図じゃん!

 やっぱこのヒーローからヴィランへの矢印重なってるじゃん!!それをここまで分かりやすく示してくれるの、公式が最大手すぎる…!

 

 イールボーイはトガちゃん(とMr.コンプレス)を捕まえようとしてトゥワイスに殺されたので、間接的にはトガちゃんが殺した事になりますが、

 そんな彼を起点として茶トガが出会ってるの、マジで感無量だな…!こういうifをわずかでも見せてくれた事に感謝が尽きない。

 

 「羨ましいくらいに」「素敵な笑顔だと思うから」はこの上なく心揺さぶる一言!お茶子側からこういう〝同じ〟になりたい感情向けてるイメージなかったですけど、

 いやでも全然しっくりきますね!!これまで価値観ぶつけ合ってきただけに嘘偽りない本音に聴こえる。

 

 直前にお茶子視点のデクのコマが入ったの、これは好きなものを「好き」と言えるトガちゃんとの対比?

 自分は「しまっとく」と決めたからその必要がないトガヒミコが羨ましいと。間接的とはいえもうこれ確定でデクくんのコト好きじゃん!デク茶END秒読みじゃん!?

 

 思えばデクも決戦前にお茶子に視線向ける描写があったんだよな…デク側が一方的に意識してただけじゃなくて安心した。

 あとどちらの視点でも芦戸ちゃんが近くにいるのがクラス内描写として納得が深いです、ムードメーカーゆえに誰と関わってても自然に感じられる。

 

 「あなたの笑顔を見なかった事にはしたくない!!」は「泣いていた君を見なかった事にはしない」とのリンク要素!

 それでいてお茶子の場合は笑顔に対する尊重もあるのが良いズラシだな…!確かにデクに死柄木の笑顔羨む理由はないしこれは茶トガにしかない関係性だ。

 

 で、次の瞬間お茶子が触れてない人まで「無重力」になったのはそんなんアリ!?覚醒の仕方がヴィラアカ編で「崩壊」が伝播するようになった死柄木と同じじゃん!

 対象を拡張する方向に成長性があるとは思ってなかっただけに衝撃でしたわ…一気に自由度上がりすぎ。

 

 いやしかし、覚醒の瞬間としてこの見開きは大いにアリです。同時浮上させたことで発生した衝撃?的なダメージでトゥワイス群が一斉消滅してるのが爽快だし、

 何より涙を触媒に”個性”が伝播したってのが素敵じゃあないですか…!文字通り涙の数だけ強くなってんよ!

 

 今回のサブタイは「少女のエゴ」。世界を変えるのが「少女たった一人」の気持ちならそれを止めるのも「少女…たった一人!」というの、言葉の裏返し方がお上手…!

 NHAのお姉さんが最高に良い仕事してくれてます。このエゴにはエゴぶつけんだよ的勢いがたまらない。

 

 気が早いですがデクvs死柄木でサブタイが「少年のエゴ」の回が訪れる気がしました。お茶子とデクがヴィランに向ける感情が同じなら、

 当然ヒロイン側と一致させる演出はあってもいいだろうと。エゴ向けるのは女の子だけの専売特許じゃねえんだぜと示してほしい。

 

 それはそれとしてこの”個性”の覚醒、任意にON/OFFできないなら今後日常生活でもヒーロー活動でも制御大変じゃね…?

 元々眠る際にミトン着けるなどの対策はしてましたが、ふとした拍子に触れたものからドミノ倒し的に浮くかもしれないの、やっぱちょっと怖さある。

 

 「血なんて一生くれてやる!」はもう実質プロポーズじゃ~ん!いや安易にこの関係百合扱いしたくないですけど、一生関わり持ち続けるって点ではそれ並の重さじゃん!

 決して軽い覚悟で言ってないって説得力ありますよ!!マジでお茶子の勇ましさカンストしてる…!

 

 自分の血吸わせようとするロリお茶子(一学年差なので割と身長差あるのが細かい)のifもグッド!

 前にデクがトガちゃんに血を提供しにタルタロスまで行くとか言いましたが、これマジで実現する気してきたな…!

 デクの代わりまたは一緒にお茶子がするんじゃないかと。

 

 僕はお茶子がトガちゃんにキスして血飲ませる説を支持してるので、今回もいつするかハラハラしながら読んでたんですが、まだしてもおかしくないラインではあるよね!?

 〝好き〟な気持ちを取り戻してまた「無重力」を使えるようになる…みたいな救いを求めたい。

 

【作者コメント】

「なんとなく和服で過ごし始めました。すこし背筋が伸びたような気がします。<耕平>」

 どこか轟くん味を感じるコメント。たぶん和の要素に対する趣の感じ方がそれっぽいからか。