僕のコミックアカデミア

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僕のヒーローアカデミア No.418 『小さな心』感想

※この記事は「僕のヒーローアカデミア No.418 小さな心」のネタバレを含みます。未読の方はご注意ください。

 

【本編】

 前回に続きデクin志村邸。「群訝で感じたのと同じ─────…」は精神空間で見たモンちゃんを抱えて泣く転弧の映像のことですね。

 でもデクがあのとき死柄木と戦ってたのは群訝じゃなくて蛇腔の方だよね?細かくいえば蛇腔病院跡地。ここは単なるミスでしょうか。

 

 次の瞬間モンちゃんが肉片と化したのは早い早い展開が!モンちゃん死ぬのは記憶の世界でも避けられない必至イベントなの!?人間に比べてあまりに犬の命が軽すぎる…!

 いやまあ前回ピキって音が出た時点で察してましたが、改めて再生されるとやはり無情すぎる。

 

 記憶と同じく華ちゃんに縋ろうとする転弧…──の両手掴んで止めたデクくんかっけえええ!!!それこそ期待してたヒーロームーブ!

 可愛らしくショタ化したのに全然勇ましさ損なってない!!華ちゃん見た瞬間全て察して動いた理解と行動の早さが頼もしすぎんよ…!

 

 まあ最初見たときは「崩壊」発動中の掌触れて大丈夫なの!?とギョッとしましたけどね~。しかしそこは精神空間、現実とは異なりイメージ次第で進行阻めるのは頷ける理屈。

 であればその掴んだ手を否定する理由はどこにもありません、全力でその選択を肯定できる。

 

 「だって泣いてる」は「泣いていた君を見なかった事にはしない」と宣言したときからブレない行動原理。

 と同時にトガちゃんの涙を見逃さなかったお茶子を思い出すセリフでもあります。これまで〝涙〟が丁寧にSOSのサインとして扱われてきたからこその説得力。

 

 対する転弧の主張は「じゃなきゃこの手はなんなんだ」。しかし最初に華ちゃんに伸ばしたこの〝手〟はどう見ても救けを求めるためなんですよね…。

 ここから姉母祖父母を失って最後は自分の意志で父親壊したとしても、今この瞬間の手は確実に殺意ではないだろうと。

 

 「憎しみとカタルシス」or「悲しみと困惑」で転弧が揺れてたのは読者としても頷ける見解。ここで揺れる心がある分やはり根っからの悪とは言えないなと。

 だからこそ弧太朗さんのあの枝切りハサミは致命的だったよなあ…あの一撃が天秤を憎しみ側に傾けてしまった。

 

 「手を掴んでもらって安心したから」は最上級の飯田くん及びA組age!一読者としてもあの手と手を見た瞬間安心したから説得力スゴイです。

 「A組からOFAへ」に続く内容として「緑谷から転弧へ」がサブタイでもおかしくない迫力。確かに手繋ぎのリレーが続いてます。

 

 「だから……来たっ」はやはり「私は来た!」を思い出す言い方。その後「崩壊」が止まったのは〝手〟による安心が憎しみを上回ったからでしょうか。

 今の転弧の中に安心という言葉に共感する部分があったと。傷んだ上からした蓋ぶっ壊すという宣言を完遂した瞬間。

 

 今回のサブタイは「小さな心」。これは今回救われた転弧の方の心を指してるのかな、死柄木は小さな心と言うには野望が大きくなりすぎですし。

 ただ同じサブタイだったNo.383との関連性は多分なさそう。

 堀越先生が忘れてるだけだったら単行本で変更もありそうだな…

 

 一方のデクくんは両腕を喪失。あくまで精神空間に限る現象とはいえこの絵ヅラはちょっと目を背けたくなりますね…。

 JF2022の描きおろしイラストで死柄木に左腕掴まれてたのが欠損フラグとか言われてたのを思い出す。

 いや多分現実ではちゃんと五体満足でしょうが。

 

 記憶は遡り──…どこかの公園。みっくんとともちゃんは転弧オリジンで語られた仲間外れされてた子たちですね。

 思えばこの頃からもう死柄木は排斥された人間の味方だったんだな…しかし今彼が味方してるのは昔の友達ではなくこちらを見る連合の仲間たちであると。

 

 「(あいつら)のヒーローにならなきゃ」は死柄木らしい言い回し!デクくんに「」と名乗ってたヴィランとして一貫性を感じるセリフです。

 死柄木にとってはヒーローこそ敵であり敵こそヒーロー。これも一種の「きっと誰もが誰かのヒーロー」と言えるでしょう。

 

 アニメ6期後期OPでは死柄木が散って中から転弧が現れてましたが、原作では全く逆を征く結末になったなあ。

 転弧としての悲しみは認めても死柄木弔としての自我は残り、その象徴として中から死柄木が出てくるっていう。ヴィランとして譲れない部分だけ残った感覚。

 

 特に目的が〝壊す〟ことから「敵のヒーローになる」に移ったっぽいのが希望に感じました。今生き残ってるスピナーたちが〝壊す〟以外の社会を脅かさない望みを抱けば、

 彼らのヒーローになりたい死柄木もそれを叶えようとするだろうと。そんな転換に感じられた。

 

 海外に死柄木を支持するモブがいるのも解像度高い描写です。人生に絶望した人間がとりあえず今一番社会体制を壊し得る存在に望みを託すのは納得深い。

 無論海外在住ゆえに他人事感強いのも要因でしょうが、死柄木がそんな人間の心を動かせる存在なのは頷けます。

 

 で、ページめくれば転弧以外の回想パートが始まったのは何!?どういう映像!!?手にした高級そうなワインから察するにやはりこれはAFOの記憶でしょうか。

 つまり奴は「崩壊」を転弧に与える前から弧太朗さんに接触してた…?うっわもうこの時点で吐き気すごい…

 

 一コマ目の弧太朗さんはやや髪短くて若い印象受けるんですよね。まだ華ちゃんや転弧が生まれる前と言われても信じられるくらい。

 で、次の会食してるシーンは転弧オリジン同様落ち着いた印象。とするとAFOは接触後年単位の長さで志村家を監視してた可能性もある…?

 

 「”個性”はもう?」「それがまだ…」も気になる会話。これやっぱ転弧に「崩壊」与えるタイミング伺ってたのかなあ。

 無個性なら”個性”与えても突然変異で自身の”個性”が発現したとしか思われませんし。だから無個性確定の4歳以降に念押しで”個性”の有無を尋ねたと。

 

 「甲賀建設」なる建築会社の社員として接触したのも周到なAFOらしいです。

 「父の建てたこの家」から弧太朗さんの職業は建築関係説があったので、同じ業界の人間として近づくのが手っ取り早いだろうと。

 もっともその立場をどう手に入れたかは全くの不明ですが。

 

 で、ページ開けば怪獣みてえにAFO先生復活来たっしゃオラァ!ここで来なきゃいつ来るんだってタイミングで来てくれたな!それでこそ悪の魔王!期待通り!!

 つっても精神空間限定ですが、このくらいハードル高くなきゃ物足りんだろうと。当然僕はバキバキ肯定です。

 

 どーせまた荼毘もういい勢宜しくAFOもういい勢がしつこいとか言ってそうですが、前振りは肉体消失時のAFO自身の〝最後の切り札(カード)〟発言でされてたんですよね。

 なのでAFOがしつこいのは事実でも作品に落ち度は全くない。ここでしつこいとか言うのは今更です。

 

 復活できた理由はやはり転弧の浄化でしょうか。思えば死柄木が肉体取り戻すまでAFOの自我を邪魔してたのは転弧の方なんですよね、

 死柄木ではなく。ルミリオンにもんもん言ったのも転弧ですし、AFO自身もそう分析してましたし。

 その転弧が今回消えて復活できたと。

 

 「おまえは今まで何一つ選んでなどいないのに」はやはり「崩壊」がAFOから与えられた”個性”である件?

 それを暴露してショック受けた死柄木の自我を完全に消すつもりなんでしょうか。正直死柄木にはその程度で動揺してほしくないんだよな~…ってのは期待しすぎか?

 

 そもそもの話、AFOがあれだけ求めてたOFA=与一はもう死柄木の精神にダイブして散ったわけですが、そこをこの梅干しは理解してるんですかね…?

 ここで死柄木の肉体乗っ取っても奪う弟がいないんじゃ意味なくない…?それともまだ残滓的なのが残ってるんだろうか。

 

 僕はデク最推しなのは揺らぎませんが、今回に関しては死柄木メインでAFO祓ってほしい気もしてきました。

 お前もう転弧としてデクくんに救われたろと。じゃあ次は弔として壊すターンだろと。記憶が具象化する世界なら連合全員召喚して皆の力で金玉ぶっ壊してほしい。

 

【作者コメント】

「おこぼれですが手塚賞審査員ご一緒できたのは一生の誇りです。ご冥福をお祈りします。<耕平>」

 堀越先生といえば以前悟空の安心感について語ってましたね。

 本編で「安心」って単語が出たタイミングでこのインタビュー思い出すのはタイムリーだ…。