僕のコミックアカデミア

イェイ イェイ ヒロアカ最高 ヒロアカ最高 オマエもヒロアカ最高と叫びなさい!!

僕のヒーローアカデミア No.429 『私が来た!』感想

※この記事は「僕のヒーローアカデミア No.429 私が来た!」のネタバレを含みます。未読の方はご注意ください。

 

【表紙】

 最後の表紙はオールマイトと晴れやかな笑顔のデク爆豪轟!

 過去3作の映画公開直前号は若マイト、ナイン、ロディと共演した劇場版仕様でしたが、今回は最終回前の本編の雰囲気に合わせてきたな…!

 ここに来てのトゥルーじゃない劇画調マイトが原点回帰感ある。

 

【巻頭カラー】

 最後の巻頭カラーは緑と黒のスーツorドレスに身を包んで2-A集合!この賑やかながら大人っぽい雰囲気がまだ最終回前なのに同窓会感ありますね…!

 皆シックな装いなのにノリはいつも通りなのが涙腺にクるというか。ワイワイしてるのにどこか寂しい哀愁がある。

 

 過去10年分の周年カラーにおけるデクくんの〝手〟まとめ!

 こうして並べると6周年以外は全部指で何周年か示してるんですね。特にお茶子と7周年、かっちゃんと8周年示してるのが印象的。

 今年は転(10)弧と10周年示してるかと思ったけど敵だし流石になかったか…。

 

 指で10周年を示してるのはお茶子も同様。そして何本か毛束ほつれた感じのお団子はもしやトガちゃんリスペクト!?

 あの世から見てるトガちゃん絶対これ嬉しいでしょ…!

 元々彼岸花モチーフな髪型ですが、

 お茶子があの世のトガちゃんを想ってるみたいですよ!

 

 変顔でソファに前のめる上鳴くん、これは出茶の間に挟まっても許される存在。てかよく見たら相澤先生が手で足首掴んで押してない!?

 こんな尊さ限界突破な笑顔で生徒にこんなんしてるの気狂いますよ!あと捕縛布を蝶々結びしてるのが可愛らしいアクセント。

 

 左サイドのツートップは何ていうかもう…顔が良い~~~!ネクタイ緩める轟くんはいつも通りですが、

 片手で切島くんの腕のけるかっちゃんも大概なナチュラルイケメン仕草ですよ!インタビューでは間空けてた二人が普通に隣座れてるの、感慨深さがすごい…!

 

 尾白くんの尻尾に包まれる心操くんはまだA組のノリに慣れてなさそうなお顔。そして隣の青山くんは僕はもうA組じゃないから…。

 と去ろうとするのを心操くんが強引に止めたみたいな感じだな!インターン先同じだった芦戸ちゃんが慈しみ深い目で見てるのも良い…。

 

 天真爛漫にジャンプする葉隠ちゃんはおっぱいが!OPPAIが常闇くんの肩に当たっとる!

 TUMで頬キスまでしたのに最終回一週前のこのタイミングで尾葉派を煽ってくるんですか堀越先生!?まあ本編ですでに青山くんに全裸見られてるし…ってのは言わない約束か。

 

【Vol.Next】

 「『こうやったら凄く楽しそう』とか自分で色々妄想して~」と語るデクくん、想像じゃなくて妄想って単語チョイスがギリギリ攻めとる…!

 A組が居場所として温かいからって分析欲オープンにしすぎだろ!これ笑顔で言ってるの無自覚の圧がすごいですよ!

 

 キッと凄い形相でノート睨むかっちゃんはやはりその分析癖への嫌悪?彼って過ちは認めてもデクのナード気質とは無個性関係なく相性悪そうな人間ですし。

 でも同時にノート爆破した過去思い出してもいてその複雑な心情の表出がこの反応…に見えなくもない。

 

 轟くんの恐らくチームを「組むか!」発言で劇場版の緑谷・爆豪・轟班に分かれた感じでしょうか。

 「……こうやって」「強くなってくのは」と言ってるのは相澤先生かオールマイト?切島くんと上鳴くんの構えはチーム分けのジャンケンか何かかな。

 

【本編】

 ハサミくん(仮)は予想通り社会崩壊前まで監禁されてた一般人。

 しかし実の家族に世間体のために存在隠されてたとか、胸糞度が予想の数段上だったな~…!

 口縫うとか子供にする事かよと。同じ突然変異でも組長に娘押しつけるだけだったエリ母がマシに思えるレベル。

 

 秀逸なのはやはり社会の崩壊が解放のキッカケになったことです。たとえその行為自体は犯罪でも、敵連合が街を無秩序な状態にしたのが結果的にこの子を自由にしたのは事実。

 ヒーローではなくヴィランという無法者が「壊す」ことでしか救えなかった代表的存在です。

 

 あと「シスター」だけ他の家族の呼び方から浮いてるのも気になる点。最初転弧同様姉がいたのかと思ったんですが、

 他の家族を呼ぶときのように「おねえちゃん」や「ねぇね」じゃないのが不自然かなと。家全体で教会のシスターと深い親交があったとか何かだろう。

 

 解禁されたハサミくんの素顔はやはり転弧と重なる姿──…!

 長めでボサボサの黒髪と隈で黒く染まった目が家族殺す前後の転弧を思い出します。そして何より口を縫ってたであろう複数のワイヤーが痛々しい…!

 たぶん初登場時髪切ってたハサミでこれも切ったのかな。

 

 「どうしてこの人たちは笑っているんだろう」から「人の喜ぶ顔が好きだった」へ──…シームレスに場面転換。

 お茶子が好きな笑顔も追い詰められた人間には疑問と怒りの対象になると。今お茶子が泣いてるのも口縫われて泣き叫べなかったハサミくんとの対比かもな…。

 

 お茶子の「命の上に生かされた」はトガちゃん死亡回でサブタイだった「幸せの上に」を思い出す表現。

 トゥワイス死亡回の”Happy Life”以上の至福の表現と当時感想書きましたが、

 お茶子の命は今その幸福の上に成り立っている──…といった連続性を意識させられる。

 

 「私のした事は」殺人──…と思わせる前にデクくんが来た!来た来た来たァ!前回ラストのリプレイなのにまたしても〝安心〟の二文字が脳内に表示されましたわ…!

 着地時の土埃の量からマジで急いで来たんだなと伝わってくる。若干シュールにすら感じる勢いです。

 

 咄嗟に顔隠してゴシゴシゴ拭うお茶子、気丈~…!ここの涙の拭い方がやけにコミカルな辺り、やっぱ隙あらばユーモア差し込んでくるな堀越先生…w

 顔の隠し方が体育祭の障害物競走後のデクくんに似てる気もする。

 こういう振舞い方がマジでヒーローの鑑です。

 

 「…見られたくないのに」→「でも…見せてほしいんだ」が何かえっちに聴こえたのは僕だけじゃないはず。

 本人たち全然そんなノリじゃないのに邪な見方しちゃってごめんなァ…!しかしこの気遣った上で一歩踏み込む姿勢が変わらぬ強気さです、それでこそデクくん。

 

 出会った入試前から未成年の主張までを振り返って──…「僕のヒーローだ!」。読者からすればもう公然の事実ですが、

 最終話直前のこのタイミングで主人公自ら口にしてくれると感慨深さがダンチですね…!ヒロインへの肯定なんてこんなストレートでいいんだよと。

 

 「(一人称単数)のヒーロー」って称賛が向けられたのって今回のデクくん→お茶子以外だと洸汰→デク(No.76)、

 切島→芦戸(No.383)、

 オールマイト→デク(No.422)、

 スピナー→死柄木(No.427)くらい?

 言う側にも言われる側にもなってるのはさすが主人公と言うべきか…。

 

 地面から足裏離すデクくんの赤い靴のカットは「その一歩一歩が変えていけるさ」ってやつ!つい最近アニメでもかっちゃんの足元映されてたからピンときましたよ!

 「おまえの歩みは~何も間違ってねぇよ」と肯定されてましたが、このお茶子への一歩も同様だよなと。

 

 「手を握るだけで心が和らぐ」は飯田くんに手を握られて学んだ真理──…!

 転弧の手を掴んだときと同じ傷の癒し方です。

 飯田くんに殴られたNo.84が「飯田から緑谷へ」、手を握られたNo.321が「A組からOFAへ」なら、今回は「緑谷から麗日へ」とも表現できる内容。

 

 デクくんに手握られたお茶子の泣き顔もすごく良いなあ…涙と鼻水でグショグショなんだけど、決して汚らしくは感じないバランス。

 この辺あまり崩しすぎちゃうとギャグっぽく感じて感動半減しちゃうからね…そう思わせないのは流石の画力。感情表現として秀逸です。

 

 感情を爆発させるお茶子──…。ここでデクくんがお茶子の手をただただ握り続けるだけなのがすごくらしいです。

 よくある肩を抱き寄せるとか頭撫でるみたいな振舞いはキザすぎて今の彼に似合いませんし。手と手の描写に拘り続けてきたヒロアカらしい繋がりの表現。

 

 トガちゃんの「余計な事〝考えて〟」は自己卑下の意味合いと捉えてましたが、お茶子はそれで自分責めちゃってたんだな…。

 そして前々回のスピナーの考える/考えないの話とも連続性がある。異形差別を考え続けた障子くん同様、茶→トガの考えも決して余計じゃないと。

 

 「子どもの時に会えてたら違ったかなあ!?」は本編のみならずVol.39発売記念ドットアニメや7期前期EDでも示されたif。

 そんな馴染み深いイメージをお茶子自身が想像してくれたのは心地良い一体感がありますね…あり得ない幻想に逃避したい感情を共有できた心地良さ。

 

 「ヒーローが辛い時誰がヒーローを守ってあげられるだろう」は言わずもがなお茶子が掲げた本作のテーマの一つ…!

 それを今度はデクくんの方からお茶子に向けてるの、魂の向く先同じじゃん!同じ課題に挑む同志じゃん!まさに主ヒロに与えるに相応しい役割ですよ!

 

 戻りつつある夜の街を背景に「余計なお世話でも~きっと必ず!!」。

 ここでトガちゃんの「余計な事〝考えて〟」が例の「余計なお世話はヒーローの本質」って名言と重なるんだな…!

 前回お茶子に疎外感しか与えなかった夜景をちゃんと希望に感じさせてくれる台詞だ。

 

 2-Aの面々も到着。辺りが暗い中を黒影が皆の先陣切ってくれてるの、地味に有効な”個性”の活用法。

 そしてお茶子をずっと心配してた梅雨ちゃんが一番早く飛びついてくれたのがな…!マジで期待通りですよ!茶→トガの感情を知ってた彼女の反応として納得しかない。

 

 「残り火大丈夫か?」と自然に訊くかっちゃん、ちょっと前に「えええ」と泣いてただけあってそこ気にしてくれる納得深いな…!

 ある意味継承者たち自身よりOFAへの崇拝が強いというか。「オールマイトを終わらせちまってんだ」と絶望してた頃から変わらぬスタンス。

 

 残り火のイメージは描かれつつも独白では「OFAは完遂した」、なのは力自体は残ってるけど物語内での役割は果たしたってことでしょうか。

 じゃないと直前の会話が「残り火大丈夫(=まだある)か?」「うん(※ないけど大丈夫の意)」ってズレたものになっちゃいますし…。

 

 しかし無個性にまた近づいたのに焦りが全然見えないデクくん、正直ちょっと違和感ない!?

 やっぱ若AFO戦のオールマイトの如くアイテムで戦う展望があって、発目ちゃんにも話ついてるパターンなのかな。相澤先生の顔に驚きがないのもすでにそれを知ってるからとか?

 

 後日、雄英校舎前──…に造られたのは物間くんの胸像!?いや死柄木戦での貢献がデカかったので納得ですが、彼だけ!?

 教科書に名前載るより先にクソ目立つ英雄の証残しちゃったよ!しかも凛々しい感じじゃなく今の本人同様嘲笑う感じの顔なのがジワジワくる…!

 

 周りでハシャぐ2-Bの面々が最初「なんでお前だけ💢」って騒いでるように見えてごめんなァ…!いやだって物間くんブーイングされるの似合うキャラしてるからさあ!

 普通に考えて彼への称賛でしょう。あと鉄哲と拳藤ちゃんがさりげなく肩組んでるの、見逃さないぜ…!

 

 一方2-Aは青山くんの送別会。お歌の最中にジャンプするエリちゃん、なかなかロックな精神してますわ…!

 文化祭のLIVEでVo.務めた耳郎ちゃんとコラボできたらそりゃテンション上がる。最終回ではシャバに出たギターマインドとコラボしてるところとか見たいですよ!

 

 エリちゃんのお歌に野次飛ばすかっちゃんはオールマイトTシャツ着てる!?デクくんが第二次決戦で着たTシャツと比較すると微妙なラインですが…。

 上の三角形×2がオールマイトのツノに見えなくもない。今の彼ならファン精神オープンにしても違和感ないよなと。

 

 ホークスの言う「チャートの拡大」は現実でも一般人が警察に貢献すると表彰状渡されるように、それを人気制度に組み込んだ感じでしょうか。

 いやそれヴィジランテのコーイチを1000倍タチ悪くした感じのヤツ出てこない!?現実でいう私人逮捕系youtuberみたいな…!

 

 しかし一般人の活躍に目を向けるという発想は賛成です。

 ここでその一般人たちを〝英雄〟と呼んでるの、もしかしてステ様の「本物の英雄(オールマイト)」を引用する形での表現なのかなあ。

 最後の最後で彼の思想(の一部)が人気制度に組み込まれる形で肯定されたと。

 

 「功を捨てずにアップデート」でエンデヴァー人形が映されるのは示唆的。まああのおっさんは功罪の罪の部分がちょっとデカすぎると思わんでもないですが…。

 ホークスの思考の方向性としては納得。罪の部分には一般人が言われずとも今後も目を向け続けるでしょうし。

 

 視点は再びハサミくんへ──…冒頭1P1コマ目でも指の骨が浮き出て強調されてたんで、彼の”個性”は刃に変えた指の骨の伸縮・操作でしょうか。

 それでも実の家族に監禁されるような”個性”じゃねえよなあ…仮に「崩壊」発現時の転弧のように暴走したとしてもですよ。

 

 その手を掴んだのはかつて転弧と遭遇したお婆ちゃん…!あのとき放置した事ちゃんと悔んでたんだな…!

 そう意識すると前々回の「止められなかったのかな」も自覚的なブーメランに聞こえる。

 ここで彼女がその役割を担うの、変わり始めた社会の描写として象徴的だ。

 

 今回のサブタイは「私が来た!」。最初この私とはオールマイト?それともお茶子?と思わせて〝おばあちゃんが来た〟をお出しするの、これは秀逸すぎる答えの示し方…!

 誰もが私=ヒーローになれる事の最高の表現です、これは皆がヒーローになるまでの物語ですわ…。

 

 お婆ちゃんを見上げるハサミくんの表情も胸を打つ画です。線が拙くて若干荒れてる印象を抱かないでもないんですが、それが逆に良い。

 ずっと強張ってた彼の心が溶かされたことの表現として直接的。こういう崩しも感情表現の一つとして積極的に肯定したいです。

 

 最後はホークスの「ヒーローが暇な社会」と共にデクくんとお茶子を映して〆。これは最終回で二人が一緒に暇を持て余す仲になってることの示唆…と捉えていーすか!?

 堀越先生…!CP成立の描写なら遊園地でクレープ半分こしてる写真でも一コマ描けば事足りますし。

 

 ハサミくんのその後も気になります。職業ヒーロー以外も〝英雄〟になれると示されたばかりで恐縮ですが、プロになったハサミくんがデクと共闘してるところ見てェ~!

 のは僕個人の願望としても、変化した社会が救った存在としてその後はやっぱ描く必要あるよなと。

 

【CONNECT TO THE DAY】

 「デ…出久」呼びに戸惑うデクくん、我々読者は本編でもう慣れたから逆に彼のこの反応の方が新鮮!

 いやかつての自分と同じ感想口にしてくれるのは嬉しいですが!スピンオフの方が共感できる主人公の反応が見られるの、逆に本編が凪すぎるだろ!

 

 デクとの関係を「腐れ縁」と表現するかっちゃん、彼みたいなキャラが言いがちだけど彼本人は言ったことなかったワードが出たな…。

 いやしかし今の彼って幼馴染って関係性そこまで過剰に否定するか!?別に「最も仲が良い」とまでは言いませんが…。

 

 まあかっちゃんは一般的な「幼馴染」のイメージに自分を押し込められたくないのかなあ。この時点での出久呼びが幼馴染だからではなく、

 元の意味でデク呼びした贖罪の証なのは察せますし。あと轟くんの名前呼び合う幼馴染認識って通形天喰由来?

 

 そしてかっちゃん以上に違和感あるのがこの親父~!

 いや心砕けた上で長男と向き合う覚悟決めたエンデヴァーがまだ「いいぞ焦凍ォ───」とか親バカムーブしてるの、流石にこれはないでしょ…!

 わざわざエンデアンチの叩き所作らんでええから…。