※この記事は「僕のヒーローアカデミア No.301 火の不始末 前編」のネタバレを含みます。未読の方はご注意ください。
冒頭はお見合い時の炎冷。若っ!この頃のエンデヴァーわっっっかいな!眼光の鋭さは今と同質ながら確かに歳相応の青さがあると言いますか、普通に硬派な漢前やんけ…!
現在45,6歳で燈矢誕生前ならこの回想時は20歳ちょっと?
ヒェ〜…!思わず変なテンションになっちゃったよ。
冷さんも期待通りクッソ美人だな!今とは違うショートヘアが新鮮で可愛らしい。確かに冬美さん似でありながら娘にはない、彼女特有の儚さが漂ってます。
エンデヴァーが「触れれば溶けて消えてしまいそうな─────…」と彼らしからぬポエムを詠むのも納得の幻想的な美しさ。
ゴマ擦りまくってるのは着物っぽいシルエットからして女性?冷さんの母親でしょうか。正直娘を商品として売るような語り口で印象好くないっすね…。
ただ焦凍くんが火傷を負う前に冷さんからは一度相談されてたっぽいんで、一応母子仲は最悪ではないのかな。
そうだと信じたい。
冷さんの旧姓は「氷叢(ひむら)」。これもまた例に漏れず"個性"に因んだ本作らしいネーミング。氷が草むらのように生い茂る…そんな意味に取れます。
まさに轟くんの"個性"によって生成される大量の氷のよう。見合いの経緯からして氷叢家は超常によって失墜した元名家なのかな。
氷といえば外典は冷さんの血縁説がありましたが、実際どうなんでしょうね?"個性"が氷の操作ってだけでは決定的とは言えませんが…実は氷叢家の子供だったりするんだろうか。
彼の再登場には一応期待してるけどそこまで轟家の問題に関わってくるかは…今はまだ根拠薄いかなあ。
「……花が好きか」「はい」「とても綺麗」はNo.187で冷さん自身の口から語られたやり取り。
そのリンドウの花言葉は「悲しんでるあなたを愛する」「正義」。
前回彼女がこの花を持って病室を訪れたように、これが轟夫婦の繋がりだった訳だ。
例え"個性"婚でもそれは嘘じゃない。
この表情を見るに…恐らく当時からエンデヴァー個人にそこまで悪い印象はなかったんじゃないかなあ。無論家のために…って諦めはあったんだろうけど、
少なくとも絶対的な拒絶は感じない。だからと言って彼の罪が消える訳じゃないけど、これでだいぶ印象が変わったのは確かだ。
回想の切ない表情から一転、凛々しく勇ましく「大丈夫じゃないよ」「だから来たの」と告げる現在の冷さん。しっかし若い頃と比較しても全然老けてねえな!
精々鼻の根に少し皺が見えるくらいか。逆にエンデヴァーは老けすぎィ!「抹消」で視られた時の殻木を彷彿とさせられる。
荼毘がいるのは外観からして再臨祭前に襲った異形排斥主義集団CRCのアジトですね。
解放戦線の拠点は全て制圧されたのでそれはない。
荼毘の方もノーダメージではなかったのは嬉しい情報かな。轟くんが火力勝負で一方的に押し負けた訳ではないのであれば、彼にも勝ち目はある。
「あいつは俺の親父だ」と彼自身の心の中のセリフで血縁関係に言及されたのは何気にこれが初。つまりあの暴露は虚偽ではなく紛れもなく荼毘=燈矢だと。
まあ今までもほぼ確定してたようなもんだけど改めてその確証を得られました。その前提で感想書くことに躊躇がなくなった。
「あの程度で死ねるようなタマじゃねえ」は前回エンデヴァーが想像した「俺が生き延びるとわかっていたのだ」「……俺という男を知っているからこそ…」通り。
歪な形だけど子から父への信頼、それに対する父から子への理解に感じなくもないです。ある種通じ合ってるというか。
荼毘の妹の呼び方は「冬美ちゃん」で確定。彼女や「夏くん」には親しげなのに「焦凍」は呼び捨てなのは…やはり燈矢時代関わりが薄く、
最高傑作である彼を敵視してたからかな。何となく末弟には関心が薄いというか、父親を貶めるショーの舞台装置としか見てない印象を受ける。
荼毘の目の淵から流れたのはフード編のホークスとの密会後と同じ血。
やはりこれは涙腺が焼けて泣けない彼の涙に代わるものなのかな。
そう意識するとこの血も切なく感じるというか…ニヤつきながら泣いてるように見える。悪どい表情なのに哀れみを感じさせる本作らしい一コマ。
再び回想、息子に起きた現象について診察に行く轟夫婦。燈矢の"個性"と体質の不一致は既出の情報ですね。
似た症状は青山くんにも見られましたが医師によると「珍しい例」とのこと。
つまり本来なら炎への耐性を獲得してた訳で…そうならなかったのは不運としか言いようがない。
で、ここで気になるのがこの医師。影はかかってますがこの丸みを帯びた頭部…もしかしなくても殻木じゃね!?
もしそうなら「まァ…デザインじみた事はね…」「この"個性"時代禁忌なんで…やめといた方が…」がどの口が言ってんだってことになるぞ!!ブーメランにも程がある。
この医師を殻木と疑う根拠はもう一つ。というのもウルアナによると轟くんの出身地は幼馴染と同じ「静岡県あたり」らしいんですよね。
近い地域に暮らしてたなら当然同じ病院を訪れた可能性はあり、そしてデクを無個性と診断したのは殻木だった。となればあり得ない話じゃない。
ここからは憶測ですが…この診察で殻木が燈矢に目をつけた可能性ないかな。エンデヴァー以上の火力ならAFOに捧げる"個性"としては申し分ないし、
瀬古杜岳の火災もそれを奪う為に実は奴らが仕組んだんじゃないかと。ただ今荼毘として生きてる以上、奴らの計画は失敗したっぽい?
「女の子にはわかんねンだ!」は当然の如く女子もヒーローを夢見てる本作では浮きすぎなセリフ。
ただ自分と違って野望を託されなかった冬美さんの言葉に燈矢が断絶を感じるのは自然ではある。逆に彼女と同じ非後継候補の筈の夏兄を心の拠り所にしてたのは彼が男の子だからか。
「俺はもう『超えたい』って思ってるんだ!」⇆「燈矢には…超えられない」ざ、残酷…!子の夢を親が否定しなきゃいけない…って手段は違えどかつての引子さんにも通じますね…。
無個性の息子には謝り、自分の体質を受け継いだ息子には夫の体質を受け継いだ兄弟を用意し…と。
安心したのはエンデヴァーが「バカなところも俺に似た…!」と自らの行為を愚かなことだと自覚してたことかな。
責任は息子を似せさせた自分にあると苦悩してるのが伝わってくる。同じ"個性"ガチャでも子供の安全も考慮してのことだった…と明かされるとやはり印象変わるなあ。
そういや冷さんってNo.39の回想ではエンデヴァーに敬語でしたよね、なのに今回はそれ以前かつ結婚後の時期でもタメ口。
まあこれは当時彼女のキャラ像がまだ固まってなかったと考えるべきか。一応あの時は狂った夫に対する畏れが口調に表れてた…って補完もできなくはないけど。
夏雄誕生。最高傑作の焦凍の前に彼が産まれたのは燈矢にとって数少ない救い。自分を超えることのない存在だから心を許せた…
って書くと下に見てるみたいでアレですけど、事実そういう安堵はあったんだろうなと。逆に夏兄に「半冷半燃」が宿ったら彼を敵視してただろうしなあ。
オールマイトを挟んで苦しそうに力むエンデヴァーの二コマはこれ絶対◯ックス中の表情じゃん!いや炎が燃え盛ってるからこのコマ自体がその最中ではないでしょうけど、
情事の際にはこういう表情してますよ…って暗喩じゃないかと。コマの流れ的にそう見えちゃうよ!見えない?
エンデヴァーとは対照的に儚げな表情を浮かべる冷さん。この目つきの変化は病んでますわ…火傷を負う前に轟くんが見たあの表情を彷彿とさせる。
徐々にあの時の精神状態に近づいてるって実感があります。息子を諦めさせるための業務的な子作りとかさあ…虚無にもなるわそりゃ。
ついに訪れた焦凍誕生の瞬間。愛すべき赤子の泣き叫ぶ姿をここまで悍ましく感じるとは…。直前までの流れにそぐわぬホギャアって泣き声がいっそ虚しく聞こえます。
この時はまだ自分の背負わされたものを知らないんだなって…その無邪気さがいっそう轟家の狂気を際立たせてる。
安堵した表情を浮かべる轟夫婦とは対照的にただ呆然とする燈矢。冬美(23)と焦凍(16)が現在7歳差だから当時の燈矢は8歳くらいか…。
その年齢で言外に両親から諦めを要求されるのはキッツいな…。髪もすでに真っ白に染まってるのが辛い…弟の髪色をどんな気持ちで眺めてたのか。
燈矢が独りで特訓してるのは彼が死んだとされる瀬古杜岳かな。
アスレチックみたいに入り組んでて確かに訓練するには打ってつけっぽい。
公共の場で"個性"を使うのは危ないし、エンデヴァーの私有地だったりするんですかね?わざわざ雪の降ってる日に特訓してるのは…火傷対策?
「俺のこと見てよ」と口にする燈矢の目からは涙が…!ああまだ涙腺が焼けてない頃なんだなって…。ここは回想前の「俺を見てくれ」「地獄の底で─────」との対比かな。
泣けなくなって涙が血に変わっても家族に自分を見てほしい、その想いは未だに変わってない…っていう。
ボロボロの燈矢を止めようとするエンデヴァーの行動は親として極めて当然。No.39の回想で弟や妹としてたボール蹴りもヒーローの夢を忘れるための遊びだったんだな…。
ただ当のエンデヴァー自身が夢を忘れられなかったから燈矢が産まれた訳で、ブーメランでしかないのが…辛い。
「俺はお父さんの子どもなんだから」と泣きながら述べる燈矢の表情は悲壮かつ狂気の片鱗を感じさせるもの。
「世の中笑ってる奴が一番強いからな」は菜奈さんの言葉ですが、
この笑顔からは強く在ろうとする燈矢の矜持が伝わってきますね…それゆえ歪んでしまったのがしんどい。
「俺を見ろよ…!!」「エンデヴァー」と要求する燈矢。今まで頭では燈矢=荼毘と解りつつも両者の人物像が一致してなかったんですが、
ここで父親をヒーロー名で呼んだことで初めて一致しました。この執念を燃やす少年の先に荼毘というヴィランがいる…って実感を漸く得られた。
エンデヴァーは自身の「俺を見ていてくれ」って言葉にみろや君や轟くん、ホークスが応えてくれたけど、燈矢は家族からその答えを得られなかったんだな…。
少なくとも彼にとってはその言葉は届かず、だから荼毘と化してまで執着してると。自分の中で漸く燈矢と荼毘が繋がった。
歪んだその炎は自分にないものを持った弟に向かい…。弟や妹に構う両親の気を引くためにちょっかい出す…なんて微笑ましい絵ヅラではないけど、
根底にある感情はそれですよね。ただ轟家の場合、事情が複雑すぎるから一般的な兄弟とは深刻度が段違いで…その手段が危うすぎる。
エンデヴァーが焦凍くんから他の兄弟を遠ざけたのも燈矢が危害を加えようとしたからだったんだな…。
まあ何も非のない夏兄や冬美さんは可哀想ですが、それなりの理由はあった訳だ。ただ父親に原因がある限りは結局意味がなく…任せたはずの冷さんが火傷を負わせてしまったと。
「一番辛いのはあなたじゃない」は否定の余地全くないですね!今はヒーローとヴィランでもその前に親と子という関係があり、
親の方が子を蔑ろにしたのが原因ならまず先に苦しんだのは子供の方。厳しくも客観的に事実を述べてくれて有難かったです、今はその誠実さに救われる。
そして「あの子を見なかったのはあなただけじゃない」はその罪を夫に一緒に背負うという宣言…!彼女が燈矢を諦めさせるための行為に協力したのは事実だからね…
被害者の側面もあるとはいえそれとこれは別問題。冷静にその部分を切り離した意見を聴かせてくれて安心しました。
今回のサブタイは「火の不始末 前編」。「火をつけたのはお父さんだ!」「お父さんが火をつけたんだ…!」と繰り返されてる通り、
燈矢が歪んだ一番の原因はやはりエンデヴァーであり…。だからこそこれからその始末=救済へ向かうのかな。そういう前向きなタイトルと捉えたい。