※この記事は「僕のヒーローアカデミア No.350 エン」のネタバレを含みます。未読の方はご注意ください。
【本編】
冒頭で殻木の声に反応してるのはジェントルの取調べを行ってたゴリラの刑事さんですね、
トゥワイスの取調べでも調書をとってました。
異形型への偏見が露骨になった世界でこの人がまだ警察官やれてるの、何気に超救われる事実だな…ほぼモブのキャラでも見知った顔に安心する。
11年前、燈矢in瀬古杜岳。…に近づくのは絶対金玉野郎じゃ〜ん!
スーツに中折れ帽って恰好が転弧オリジン冒頭の謎紳士と一致してるし!
逆に転弧に「崩壊」が突然発現した理由も志村邸に送り届けられる前にAFOに"個性"を付与されたから、でこれでほぼ確定じゃないでしょうか。
謎の施設で目覚めた燈矢を見てかっちゃんやんけ!!とツッコんだのは僕だけじゃないはず。既視感の正体はセントラルで目覚めた時のこの寝ボケ顔ですね。
ベタやトーンの貼られてないツンツン頭の時点で結構似てましたが、顎部分が爛れ落ちてないとここまでソックリだとは…w
ベッドの近くには折り紙で作られた鶴やチューリップ、「おねむりくんはやくよくなってね」と書かれた手紙が。
縦読みだと「おはよ」になるの、地味に芸が細かい。あとこの手紙、字以外にも変なマーク?が描かれてるんですが、これは一体…?若干手っぽくも見えるけど自信ない。
他にはチェックのタイル、木や蝶や飛行機のステッカーに子供の落書きが貼られた壁と、いかにも児童の遊び場といった部屋。
少し気になるのはこの内装、オバホがいた児童養護施設にも似てるんですよね…
もしかしてオバホもAFOに連れ去られて殻木運営の施設で育てられた説、ある?
ただオバホがこの施設にいたとしても燈矢がいたことは知らなそうですね。
現在28歳のオバホは11年前瀬古杜岳で火災が起こった時点で17歳。
オバホは組長に「小僧」と呼ばれるくらいの年齢の頃に引き取られたので、
燈矢が運ばれてきた時点ではもう施設にいなかったと思われます。
燈矢が眠ってた期間は3年。瀬古杜岳の火災は13歳の頃の出来事だったのでこの時点で燈矢は16歳ですね、ちょうど今の焦凍くんと同じ年齢。
弟が父親への憎悪を鎮めて「炎熱」を解放したのと同じくらいの年齢で、兄は父親への憎悪を燃やして復讐を決意した…と思うとまた悲しい。
帰りたがる燈矢を制止したのは施設長らしき人物。何だこの雑コラ感強すぎるヒマワリの頭部は…wそこに貼りついたような笑顔が胡散臭すぎるんですが!
この顔って荼毘含めて堀越先生がよくする簡略化ですけど、
子供たちを脳無の素材として育ててる人がされてると怖すぎんのよ!
「ひどいことをしたし…言ったし…」は焦凍くんに炎を向けたことやお母さんを売った発言のことか。
何気に燈矢、この時点ではお母さんたちに謝りたいって感情もあったんだな…もうお父さん以外どうでもいいと思ってたから意外だった。
なら後に冷さんたちに謝る展開もあり得る?
「欠損部分を再生組織で補っている」ってのは要は死柄木の手の無限増殖と同じで、その再生に"個性"は使われてないのかな。
AFOが「超再生」を入手したのは物語開始の5年前にオールマイトに敗けて以降、
つまり今から8年前のこの時点では欠損を補う"個性"は有してなかった訳だし。
エンデによれば「下顎部の骨」の一部は瀬古杜岳に遺されてたらしいんですよね。
しかしこの回想の時点では燈矢の顎はちゃんと存在しており、現在ほど酷く爛れ落ちてもいない。
となるとこれも再生組織によって補われた状態なのかな。頬と口の下の継ぎ目はその補正の痕であると。
もう以前のように「蒼炎」を扱えないと知って絶望する燈矢…に教育受ける提案するAFO、ウッゼェ〜!胡散臭ェ〜!!
炎を元通りにしたところで結末は脳無化と似たり寄ったりの未来しかないのに、よくここまでいけしゃあしゃあと言えたな…!このパソコンのモニターぶち破りたい。
「俺は」「他の人間から教えを乞う気はない」よう言うた!それでこそエンデの息子や!!いやあもうお父さん大好きな燈矢の回答として期待通りすぎる…!
父親への執着がAFOの支配から逃れる要因となった事実が面白すぎんよ!直前の「ん?」がマジで間抜けすぎて何度でも聴ける。
ここには無用と悟れば即火を放って脱走する燈矢、絶望で動けなくなってもおかしくないこんな状況で行動力ありすぎる…!
燃えてる施設の外観からしてフードが保管されてた「ひだまり園」とはまた別の建物っぽい?
火事の後修繕する際に改装した可能性もなきにしも非ずですけど。
「保険(スペア)」ってのは要するに燈矢もAFOに身体を乗っ取られる可能性があったってことか。スペアとして燈矢に目をつけたのはやはり轟夫妻の来診時ですかね?
このとき診察した医師が殻木で、彼から「蒼炎」の情報を伝えられてた顔金玉は元々燈矢を連れ攫う隙を伺ってたと。
「なんもかんもAFOの仕込みっつうつまんねぇ話か?」は地味に読者の代弁だな…「蒼炎」の暴走まで顔金玉の仕込みだったら結局志村一家の「崩壊」と同じパターンだし。
瀬古杜岳の火災までは轟家の悲劇としてすでに完成されてるんで、そこにAFO&殻木による干渉は不要でしょう。
フードの保管されたひだまり園で荼毘と対面する殻木。蛇腔病院地下で若干不自然なまでに親近感寄せてきたのは真意を聞く機会が欲しかったからなのね。
とすると「どこかで会っているかもな」も密かなアピールだったっぽいなあ。
昔瀕死のお前を救けたのはワシじゃぞ、っていう。
場所が場所、そして今回語られた過去が過去なだけに、フードの"個性"のいくつかは燈矢が眠ってた施設の子たちのものなんじゃ…とか想像しちゃいますね。
まあ燈矢がいた施設とひだまり園が同じ場所とは限りませんが。にしてもこんな場所に保管されてる事自体が不穏すぎるのよ。
一月保たず死ぬはずだった身体で8年間生きられた理由が「怨嗟の炎だけで踏み留まらせてきた」とか超強引なアンサーなんですけど、
荼毘のお父さんへの執着っぷりはもう何度も思い知らされてるんで、ヨユーで納得できるな…!むしろこのくらいシンプルな方が分かりやすくて良い。
燈矢が一度家に帰ってたのは衝撃の事実…!んでその帰った瞬間にちょうど焦凍くんに虐待紛いの指導してたの、タイミング悪すぎるッピ!
いや別に擁護する気はないけどエンデだって四六時中こんな事してた訳じゃないだろうし、本当にエンデらしい間の悪さでいっそ笑えるレベル。
まあ燈矢が荼毘と化した理由はお父さんが自分を見てないって事実そのものなんで、仮にエンデの不在時に帰ってきて一度は受け入れられたとしても、
その後も焦凍くんへの暴力的指導が続けば、いつか自分からまた家出してた可能性が高いんですよね。結局全てエンデに原因がある
そもAFO&殻木がいなければ燈矢は一月と保たなかったらしいので、帰ってきてそのまま轟家で過ごしてたら死を迎えてたはず。
そう考えるとエンデのクソみてーな家庭内暴力が燈矢を荼毘として生き永らえさせた、という皮肉な因果に…。この歪な噛み合い方がまさにエンデって感じ。
「自分が形づくっていたものが白黒反転するんだよ」はダビダンスまで黒く染めてたその白い髪を意識させられるセリフ。
価値観の変化を喩えた言葉が目に見える形で表現されてるのは分かりやすいな…何なら今現在進行形で炭と化してる肌も白→黒の反転を表現してるように見える。
パソコンでエンデの動画観て技真似る荼毘、それはもうただのファン、いやファンチなのよ…w
ついこの前我らが主人公に言われてた「〝同じ〟になろうとする事が心を充たす」を思い出す。
憧れと憎しみでそのモチベは逆方向でも、対象と同じになろうとする発想は一緒なんだなと。
自分の仏壇の前で掌合わせる燈矢は同じく掌合わせてたエンデや冬美さん思い出すなあ。
本来シュールな光景のはずなんですけど、轟燈矢としての己の死を受け入れる文脈が築かれてるから全然茶化せないっすね…
荼毘に生まれ変わる為の儀式として相応しすぎて謎の感動すら覚える。
ここで注目したいのは轟くんが内通者発覚回、そして今回でもしてた謎の指の組み方。
燈矢が荼毘として自分の仏壇に掌合わせてた文脈を踏まえるとこれ、仏教における六種拳の一つ「金剛合掌」なんじゃないかと。
「荼毘(に付す)」自体が仏教用語なので割と可能性はある気がする。
さらに深読みすれば仏教では右手は清浄、左手は不浄って考え方がされてて、左=「炎熱」を使ってなかった頃の轟くんの思想と合致するんですよね。
で、その両手を合わせる行為は清浄と不浄の一体化を意味してる。彼の新技はその一体化を以って不浄な兄を救う行為なのでは…と。
「熱」の有無を"動と静"、"生と死"という目的の違いで対比要素に捉えるのは面白い観点。
思えばAFO(と殻木)の持つ「摂生」も運動能力を犠牲に生き永らえるための"個性"なので、
「蒼炎」とは真逆の効果と言える。
聖火に喩えられてたOFAも概念レベルならAFOとは対極の"個性"か。
「只管に死へと向かう」って点ではエンディングの目的とも共通してますね、その条件にエンデヴァーを殺すor殺されるって違いはありますが。
エンディングを仕向けたのはエンデの関わる"死"がゴールの者同士として、荼毘なりにシンパシー感じるところがあったからなんだろうか。
「偏執狂の死炎」纏う荼毘はクッッッッッッッソ熱そう…!誌面の堺飛び越してこっちにまで熱気伝わってきそうな圧だな!!
紙版だと残念ながら印刷粗くて確認できないんですが、絶対黒炭と化した体面の描き込みエグいやつじゃ〜ん!こんなん描いてたらそら休載して当然っすよ!
こうして肌爛れ落ちて筋繊維晒しながら前に乗り出してると超大型巨人っぽくも見えるなあ、目の前に進撃の巨人の弟もいるし。
この姿、不気味で悍ましいのに死に向かって生きてる!命燃やしてる!!って一種の高揚があります。死の直前だからこそ最も"生"を実感できるというか。
オールマイト像の左腕焼き溶かしてるのも冒涜的だな〜!一生懸命磨いてた珠葦萌胡さんに土下座案件ですが、不敬すぎて逆に魅入ってしまう。
何気にこの光景、現No.1(エンデヴァー)に乗っかった死柄木と旧No.1(オールマイト)に乗っかった荼毘…って対比だったりするんですかね?
「アレの大切なものを全て焼き尽くす」で〝大切なもの〟が強調されてるの、自分がそのうちの一つであると理解した上での台詞なんですかね?
だから現に今その身を焼き尽くしてると。だとしたらヴィランとしてますます格高いな…自分の死を以ってして完成する復讐ってのが秀逸。
「渦巻く怨(エン)─…衝突!!」からして今回のサブタイ「エン」は「怨嗟」のエンか。
ここにきて炎(エン)デヴァーの名前の一部に新たな意味を付与するの、荼毘のモチベに見事にマッチしてるなあ。
まあ正直このアオリがなかったら「怨嗟」が由来だと気づけたかは微妙ですが…w
しかし「怨(エン)」って漢字を当てられるなら父子・兄弟の「縁(エン)」って意味も見出せる訳で…どうかそれを感じさせるような展開を望んでしまいますね…!
ネガい印象だけをエンデヴァーの名前に残したまま終わってほしくないんですよ!エンって縁って感じでなんか好きだ私!
焼死一直線の兄貴を前にしてなおヒかずに対峙できる轟くん、救いすぎる…!と感じたところでまた次号休載。
デク茶表紙に荼毘のこのエグい肌の描き込みはやっぱ負担デカかったか…!いや休載は全然ウェルカムですが。このクオリティの兄弟対決を毎週読みたいとか贅沢な望みよ。
しかし荼毘、仮に心が救われたとしても肉体の方がもう燃え尽きそうな勢いなんですが、大丈夫なんですかね…?
救う手段は「超再生」くらい?自分の炎で人体模型状態になった死柄木が元通りなるのを目にしたエンデならその可能性に至りそう。
それか壊理ちゃんの「巻き戻し」か。
【作者コメント】
「ホラー漫画を描いてみたい気持ちが少しあります。少しですが。<耕平>」
もう描いてる!!!!毎週描いてる!!!!!いや真面目な話、堀越先生のガチホラー漫画なら読んでみたい気持ちもありますが…!でもやっぱ怖い。