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僕のヒーローアカデミア No.426 『地獄の轟くん家・FINAL』感想

※この記事は「僕のヒーローアカデミア No.426 地獄の轟くん家・FINAL」のネタバレを含みます。未読の方はご注意ください。

 

【本編】

 タルタロスに集結した轟家、エンデヴァー以外も髪灼けたり顔火傷したりしとる…!いや氷叢の血で熱耐性低いのにむしろよくこの程度で済んだと言うべきか。

 不謹慎ですがこのショートヘアはこれはこれでアリと思ったり…ホークスやねじれ先輩のときも言ったなコレ。

 

 一番目立つのは冷さんの顔の火傷。

 左目周り(どころか右頬や首にまで侵蝕してますが)が灼けてるの、やっぱこれ同じ位置の焦凍くんの火傷と重ねてるんだろうなと。

 荼毘の元へ駆けつけた時点で覚悟はしてましたが、煮え湯浴びせた罰としては相応しくもやはり重い…!

 

 「それを言うなら〇〇も」のリレー、冷さんたちが言い合うだけならまだしもエンデヴァーも言ってるの、ホンマこの親父は…!

 アンタに対してはともかく燈矢兄にそんな急に薄情になれる訳ないでしょ!焦凍くんの「義務感で来たんじゃねぇから!」が皆の代弁すぎる。

 

 ガラスの向こうにいるのは巨大カプセルに入れられたほぼ炭状態の燈矢。今生きてるのが不思議なほどの悲惨さです、ヴィジランテ終盤のNo.6の姿を思い出す。

 それでも家族を一瞥して「観光名物じゃねぇんだよ…」と皮肉言う余裕はあるのが荼毘らしいしぶとさですが。

 

 エンデヴァーのヒーロー引退は衝撃の宣言…!まあ過去に燈矢を見ずヒーロー活動に逃避した分、今度はヒーロー活動を犠牲にしてその時間を燈矢に費やすのは頷けますが。

 しかし社会への償いとしてヒーロー続ける選択肢もアリと思ってただけに今はショックデカい…!

 

 この引退が決して〝逃げ〟ではないのは解るんですけどね~…!それでも一読者としてはやっぱり、まだヒーローやってるエンデヴァー見たかった…!

 世間に叩かれながらも人助け続ける償いの形を思い描いてたんでね…まあ本人の決断ならこれ以上言う気はないですが。

 

 ここでAFO戦前までは右腕があった箇所が映されたのも象徴的です。

 エンデヴァーにとって右腕とはフード戦後にオールマイトへの対抗の意味も込めて新No.1として掲げた方の腕。

 そんな文脈を持つ右腕が失われたというのはヒーローとしての終わりを示唆してたのかなと。

 

 「ヒーローエンデヴァーは灼かれて死んだ」は燈矢の8年間の研鑽に炎司から贈れる最大限の称賛。

 元々戦いが終われば引退するつもりだったと前置きしてるし、これを燈矢を引退の言い訳に使ってると捉えるのは愚かでしょう。単行本で修正求めるような台詞じゃない。

 

 「事が済んでから諂うなよ…」は燈矢の心情としてご尤もな台詞。しかしエンデヴァー自身が「卑怯者」として自覚してるなら外野から責める気はありません。

 息子を〝見〟なかった者としての自責がしっかりある。今真正面から燈矢と向き合ってるのが何よりの証です。

 

 燈矢の炎を「俺の『ヘルフレイム』だ」と言い切ったのも良かったです。

 デクの「おまえはエンデヴァーじゃない!!」はあくまで荼毘の主張を否定するためで、エンデ自身が言い訳に使っていい言葉ではないので。

 これをデクの台詞の全否定と捉えるのは違うでしょう。

 

 エンデヴァーが毎日ダビデオ見てたってのは第二次決戦以降、ってことでしょうか。あの動画は言わば燈矢の父親に対する〝見て〟って感情の集大成だしね…。

 本人に会えないなら他に〝見る〟べきものがそれなのは頷ける。今後もエンデはダビデオを見続けるんでしょう。

 

 対比するように並べられた燈矢とエンデヴァーの目のコマも印象的です。お互いを今しっかり〝見〟てることのストレートな表現。

 ハイライトによって澄んでるのが強調されたエンデの瞳もその真摯さが伝わります、父子の視線がちゃんと交わってるのが感じられる描写。

 

 「毎日来る」「話をしよう」で燈矢の姿になったのは反則演出~…!火傷や欠損した右腕は「荼毘」のままなのがその罪は消せない、

 けれど髪と顔付きの変化が確かに心は「燈矢」に戻ったことを示してる…そんな表現に受け取れる。No.388ラストのifを思い出す画です。

 

 「憎いなら~ぶつけてくれ…!」は燈矢を止めたときの「聞かせてくれ…!」から変わらぬスタンス。

 この間ピーピー心拍数測る機器が鳴ってるのがエンデヴァーの言葉で心揺さぶられた証左だろうと。冬美さんと冷さんの言葉で音が更に大きくなったのがダメ押し。

 

 燈矢兄の好きな食べ物は蕎麦!これでやっとプロフの「好きなもの:???」の欄が埋まったな…!

 引っ張った割に捻りのない回答でしたが、ここで焦凍くんと同じ物が好きって共感要素は生まれていいよねと。いや何か煮えたぎったうどんとか言ってた人もいましたが…。

 

 好きな食べ物聞けた時点でだいぶ歩み寄れた感ありますが、最終回では一緒に蕎麦啜ってる轟兄弟見れるんですかね?

 チューブ通じて蕎麦の栄養摂取する燈矢想像するとシュール…ってのは不謹慎な感想ですが!しかし欲深い読者としては一コマだけでも望んじゃうよ~!

 

 焦凍くんへの謝意から燈矢が流したのは血のような比喩表現ではない、正真正銘本物の涙…!

 「涙腺が焼けて泣けねえんだよ」とホークスには語ってましたが、その彼が泣けたのは兄として大切な感情を取り戻せた証だろうと。

 この涙に素直な感情全部詰まってますよ…!

 

 あれだけやらかした燈矢が素直に謝ったのが意外な人もいるかもしれませんが、

 幼少期から焦凍くんに炎を向けた件に「あの時は俺が悪かったよ…!!」と言える子ではあったんですよね。

 であれば、全て終わってもう一度向き合えた今なら謝れてもおかしくないだろうと。

 

 何よりこの「焦凍…」「ごめんな…」って謝り方、

 燈矢を止めたときのエンデヴァーの「瀬古杜岳行かなくて……ごめんな…!!」から始まる家族への謝罪ラッシュとそっくりすぎてな…!

 ビンビンに血を感じずにはいられなかったっすよ!ここを重ねるのはズルすぎる…!

 

 あとタルタロスの外装が黒から白に変わってたっぽいのも気になりました。

 最初はただ単に改修途中だからかと思ったんですが、今回看守さんの制服も真っ白に変わってましたし。

 これって「”個性”社会の闇」と呼ばれてる負のイメージを払拭する為の変更だったりする?

 

 夏兄が付き合うのが「燈矢兄を止めるまで」なのはエンデ見舞ったとき約束した通り。

 そしてNo.259扉絵の轟家の新居にいた彼女さん、ダビダンス以降全く話題に出てなかったけど別れてなかったんだな…!

 紹介しないのも当然の権利。いやでも19歳で結婚って早くね!?

 

 いやあでもやっぱり一読者としては、夏兄にもまだ付き合ってほしかったな~…!もちろんエンデヴァーにではなく燈矢兄、に。

 夏兄は医療福祉を勉強中なので専門家の立場から燈矢の回復に関わってほしかったんですよ~…!

 今からでも燈矢介護してるルート入れない?

 

 冬美さんの退職も虐待親父の娘という立場で教育の現場に居辛いのは分かるとはいえ、辛いなあ…けれど生徒の母親に新しい職場紹介されたのは縁に恵まれましたね。

 彼女の人徳の賜物。ところでその新しい職場って雄英の避難所で一緒だった間瀬垣小だったりしない?

 

もういいんじゃねーの?」は夏兄の立場からなら正直思っても無理はない意見。いや普通に考えてよくねーよって話ですが、

 自分たちに害を為した相手がビビるくらい償いの姿勢見せ続けたら逆にヒくというか。真面目な夏兄ならそれを重苦しく感じるのは無理もない。

 

 しかしエンデヴァーの回答は当然NO。子供たちを〝見〟なかった彼が「見ていなくていい」と言うのは当然ながら多少気の軽くなる台詞です。

 何の非もない焦凍くんたちにここで義務は生じない。「降りかかる火の粉」って言い回しが炎の”個性”を身に宿す彼らしさだ。

 

 「ダンスの誘いを受けたんでな」は無骨なエンデヴァーにしては洒落た返答…!いや多少のクサさは否めませんが全然アリです。

 この似合わなさが逆に良い。燈矢の「地獄(じごく)で息子(おれ)と踊ろうぜ!!!」って要求にちゃんと応えてます、地獄でこそ踊る意味がある。

 

 お父さん呼び、からの「かっこいいって思えた」は夏兄から袂を分かつ父への可能な限りの称賛でしょう。これほど覚悟決めた姿見せたならこの程度の労いはあってもいい。

 これで報われたとか思うエンデヴァーではないから聞ける台詞です、決して無理なageではない。

 

 焦凍くんが乗るように促されたのは夏兄が自分で運転してきた車か。マイカーかレンタカーかは不明ですがもう立派な大人だなあ。

 そしてここで両親に言った「A組(みんな)」って読ませ方良いですね…!やはりA組のAこそONE FOR ”A”LLのAですよ。ショートも皆のために。

 

 轟夫妻を出迎えたのは専属のハイヤーの車田運転丸さんたち。そしてバーニンの後ろから出てきたのは荼毘に灼かれたキドウとオニマー…でいいんだよね!?

 一命取り留めたって信じますよ!車椅子押してる冷さんは償いの意味で今後もエンデヴァーと一緒にいるのかな?

 

 今回のサブタイは「地獄の轟くん家・FINAL」。

 3ではなくFINALなのが無駄に壮大に感じましたが、読み終わればFINALの名に相応しい終止符の打ち方でしたね…!

 いやエンデヴァー個人としての地獄はむしろここからですが。しかし家族単位での地獄はこれで終了でいい。

 

 ずっと殺しの仕事を強いられてきたナガンがまだシャバが怖いのは納得ですね、ホークス個人と多少打ち解けても公安全体をすぐに信用しきれないのは頷ける。

 けれどただ悲観してる訳ではなく、むしろ今後の社会に期待してるからこその保留なのが希望を感じる選択だ。

 

 税金で飯食う発言に対するホークスの「(ヴィラン)」は気の置けない距離感~…!こんな本来ならライン越え発言を軽い冗談で言えるの、

 間違いなく気安い先輩後輩の距離感じゃないですか…!最終回でムショ出たナガンと一緒にヒーローやってるのが楽しみですよ!

 

 ジェントルとラブラバ、釈放──!!この抱き合ってるコマが今回一番の癒しっすわ…!これにはゴリラ刑事さんもにっこり…してなくて草。

 今後は資格取ってふたりでプロヒーローとしてやっていくのかな。前科持ちは厳しそうとはいえ竹下くんの認知貰えるといいね…!

 

 LINEに慣れてきつつも送り方がまだ拙いエンデヴァー、やはり愛おしい。そしてホークス新公安委員長はマジ!?目良さんじゃなくて!?

 まあ”個性”失った以上今度は裏方に回るのは理解できますが。でも背中に刀刺してるしワンチャンまだヒーローと兼任の可能性ない?

 

 若くして神輿になったといえばやはりスピナー…って普通にセントラルにいるじゃねえか!誰だよあのハサミくん(仮称)が無個性になったスピナーとか言ったの!

 いや僕も便乗して黒霧が逃がしたとか考察しましたが!!

 ってことはハサミくんはやはり第2の転弧的存在?

 

 最後部屋に入ってきたのは死柄木からの伝言を伝えにきたデクでしょうか。次回スピナーが改心するなら障子くんも来てる?

 第二次決戦では正直障子くんが一方的に語りかけてた印象が強いですし。ここで対話して初めてスピナー側から同じ異形として共感が生まれると。

 

 前々回轟くんとお茶子の間にスピナーのスケイルメイルが挟まってたのがシュールだったんですが、

 これはエピローグでデク以外にメインで描くキャラを順に示してたのかもなあ。今回轟くんだったので次回はスピナー、その次はお茶子。オバホ、お前はどこで戦ってる…

 

【作者コメント】

「前話でエンデヴァーの腕が生えてるように見えますが目の錯覚だと思います!<耕平>」

 てっきり義手かと…いやでもよく考えたら義手に包帯巻いてるのはおかしいか。