※この記事は「僕のヒーローアカデミア No.306 終章開幕」のネタバレを含みます。未読の方はご注意ください。
【巻頭C】
AFOとオールマイト、それぞれの(元)ラスボスが映ったタブレットを抱えるデクと死柄木。
無造作に積まれた文明の利器に腰かける二人の退廃的な雰囲気がセンス溢れてますね…!ヒーロー/ヴィラン側の主人公として静かに、だが確かに己の標的を告げるようなカラーだ。
デクが着けてるマントはグラントリノのものでしょうか、色もVol.6の裏表紙に描かれた彼の黄色いマントに近いですし。
全面戦争の途中までマントを着けてた死柄木との対比っぽくもあるな…まあこのカラーで彼が着けてるのがエクスレスさんのマントとは限らないけど。
コピーは「相反する少年ふたり。再び画面の向こうへ。」。死柄木は一応成人済みだけど「少年」なのね。
まあ初期から「子ども大人」と評されるほどだし、前回示された通りその奥にいる志村転弧はまだ少年のままだからな…。デクとセットで少年扱いでも違和感はない。
【本編】
現実のオールマイトに流れ込んだのは「"無個性"の」デクの言葉。これは前回の宣言で姿だけ幼い頃に戻った変化を強調した表現かな。
転弧を救うと答えたのはOFAを受け継ぐ前の緑谷出久であり、そこに"個性"の有無は関係ない。その決意が同じく無個性の八木俊典にも伝わった…と。
元No.1&3は初対面。まあオールマイトは一人で何でも解決しちゃうしね…チーム組む機会なくても別に自然。
ジーニストからツッコまれてたけどササっと本題に入ってくれるのは読者としては有難いです。こうして話を円滑に進めてくれるとOFAの秘密共有後の進行役にも期待が持てる。
以前エンデヴァーに象徴論を語った際は「オールマイト」と呼び捨てだったけど本人に対してはさん付けなのね。
まあ現実で芸能人を話題にする時に呼び捨てにするようなもので、特別ホークスが不敬って訳ではないでしょう。そも礼儀正しい主人公からしてプロは全員呼び捨てだし。
手で目元を拭うオールマイト。これはやっぱりOFA内部の意識同様、現実の彼も涙を流してたのかな。1P目の彼の頬に涙やその跡らしきものは見られないけど、
前回あれだけ神聖な宣誓を聞き届けたのだしやはり泣いてくれてたと信じたいです。ただ眠い目を擦っただけとかは勘弁な!
OFAという単語を広めたのは辞職したモブヒーロー。その重要性知らないからって情報漏らしてんじゃねえよバカ!と思っちまうな…辞めるからって無責任すぎない?
それとも良かれと思って教えたのか…。マスゴミが問い詰めたからってのもありそう、いずれにせよ頭抱えるしかない。
今は「世間(そと)」も戦う対象。以前デクに説いたOFAの存在発覚に伴う「社会の混乱」…しかしすでにその状態に陥ってるなら秘密を優先してる場合ではないと。
そうオールマイトが思い至るのは必然。現No.2&3に真っ直ぐな目を向けられれば隠すのはもはや不誠実な対応だよなあ…。
「全てを話そう」____からのキンクリ!はやい!展開が!!まあ話すのは読者が把握してる情報だしキンクリ自体は妥当ですが、
かっちゃん以外永らく不可侵だったOFAを知る者が増えるとなるとやはり身構えますね…。轟家過去編→OFA内会議とじっくり描いて今回は緩急が激しすぎる。
トップ3でチーム組んだ以上、記者会見時にはエンデヴァーもOFAの詳細は把握済みと見るべきか。炎司と共に背負うと決意した冷さんたちは…流石に知らされてないかな。
彼女たちが支えるのはあくまで精神面だけだろうし、荼毘(=燈矢)以外の情報まで全て共有する必要はないかなと。
民衆が「皆が皆ただ責め立てたいワケじゃなかった」のは自然な心理。そら荼毘みたいな奴の胡散臭い告発とか信じられんだろうしな…
DNA鑑定の結果があるとかそういう問題じゃない。しかし告げられたのは残酷にも「真実です」の一言で…本人による簡潔な答えがあまりに重すぎる。
失望する民衆のコマの中には例の「見ろや!!」を白黒反転させた画像も。
見ろや君、やっぱ負の方面で玩具にされてんじゃ〜ん!いや彼に関しては正の方面で弄られてた時もどうかと思ってたけど!
この子はただ推しを推してただけなのにさあ…こればっかりはネット民も同罪ですよ。
父親の件はホークスには何の非もないけどそこも謝るのか…隠してたって別に最初から話す義務なんてないのに。
親を見限った彼の選択は間違いじゃないと僕は思ってるから今の扱いがそのツケとは考えたくないのよ…。もっともホークス自身はこれも罰として受け入れてそうだけど。
トゥワイス殺害は客観的に見てやむを得なかった行為。大袈裟でも何でもなく例えばマキア量産されてたら日本終わってたからね…それこそ進撃の巨人みたいな惨状。
「二倍」は負傷した状態でも発動可能かつ「剛翼」に生かした状態で意識を奪う術がないならもう命を絶つしかない。
「彼に罪を償わせる事ができなかったのは」で映るエンデヴァー…これは彼の償いは絶対支えてみせるって示唆かな。
トゥワイスを更生させられなかったからこそ、今罪を償おうとしてるNo.1のことはNo.2として全力で支えると。隣で聴いてるエンデヴァーにもこの言葉は響いてそう。
土竜(?)っぽい爪をした女性記者からの糾弾。母親が重傷負ったのは同情するけどヒスった言い方がうわキツってなりますね…。
少なくとも「己の過ちが〜顔には見えませんが!!」は完全に主観じゃねーかお前と。こういう責め方ってただ溜息下げたいだけで何の実益も生まんのよね…。
「……憔悴した顔で泣いていれば」「取り返しがつきますか?」は正論!恐らくこれは実際に憔悴して泣いてたところを冷さんに喝入れられた経験から出た言葉でしょう。
そんなことしても社会に不安に与えるだけ…今すべきは大袈裟なパフォーマンスではなく益となる具体的な行動。
「社会の不安を取り除け!!」「敵を全部片付けろ!!」それが今エンデヴァーが求められてること。いくら責めても結局皆No.1ヒーローとして彼を求めてしまうのよね。
なら憔悴して泣いてる時間は無駄な訳でその自覚があるからこその返答。それを教えてくれた冷さんに感謝しかない。
首長すぎて襟とネクタイの主張がヤバい事になってるジーニストは流石にジワるよ!いつもあまり意識してなかったけど正装だとクッソ首長いですね…!
この身体的特徴も彼の"個性"に由来するもの?これで脱いだらどうなってるか見るのが正直怖いな…禁忌に触れた気分になれそう。
雄英含むヒーロー科のある学校は指定避難所として認定。校長と電話してたOBというのもジーニストのことかな。
もうそのレベルの対処が必要なほど治安悪化しまくってるのか…「先の見えない避難所生活」がまた現実で震災などで住居を失った人たちとリンクする部分でしんどい。
雄英以外の学校も避難所になるなら士傑や傑物もその対象なのかな。特に士傑は雄英と並んで「西の士傑」と評されるほどだしセキュリティには期待が持てる。
そろそろ士傑側の描写もほしいっすね…特にタルタロス襲撃で看守の父親を亡くなったかもしれない肉倉先輩が心配すぎて。
引子さんと光己さんが会話してるのは超レアな光景!だって息子同士がアレだよ、虐めたり虐められたり畏れたり畏れられたりしてる関係だよ!!?
家族単位で険悪な仲ではない事実に安心すると同時に、やはり落ち着かなくもあり…子供の仲についてはお互いどんな理解なんだろう?
光己さんって無責任な印象はないし幼少期かっちゃんがやらかしたら一緒に謝ってそうではあるんですよね。
ただ思春期入ってからのアレコレは知らなかったんじゃないかな…少なくとも例の自殺教唆は把握してなさそう。だとしたら母親同士は会話できるくらいの関係なのも頷ける。
避難所生活は「先を見る」為…燈矢を見なかった過去を省みたからこそ得た視点。ここでまた見る/見られる関係を築こうとするのがエンデヴァーらしい。
罪を犯した彼としてはもう只管にこの言葉を口にするしかないもんな…不器用だけど愚直な姿勢としてこの回答は評価したいです。
改めて告げられた「みんなで俺を」「見ていてくれ」はNo.1ヒーロー・エンデヴァーとしての宣誓であり、目の周りの炎はそれを象徴するもの。
但しビルボードチャートJPの「俺を見ていてくれ」と違ってその視線に非難や不安も含まれており…以前より更に重い物を背負う決意表明。
エンデヴァーの要求通り動画を「見る」ウォッシュ。救けに行ったら遅いとフライパン投げられて散々だった彼ですが、
こうして感涙してると救われた気持ちになれますね…!デフォルメされた目に溜まった涙が尊い…マスコットらしさを保ったまま示される熱い反応に励まされます。
自分のマスクを手に持つMt.レディ。マスクと言えば亡くなったミッドナイトも着けてたんですよね…でも今はもう彼女は着けられない。
同じセクシー系ヒーローの後輩としてレディなりに何か思うところがあるんだろうか…彼女たちってTV番組やメディア演習回で一応面識あるしね。
ミルコは期待通り失った左腕の部分に義手(?)装着して復帰ッ!ベルトで固定しながら睨んだ眼光がタフネス…エロいっ!
No.267のCカラーで巻いてたのはこれだったのね、この時点で復帰は前振りされてた訳だ。
まあ堀越先生の癖の塊だしリベンジ無しで退場とか元々あり得ないわな!
相澤先生の右目の眼帯は戦闘中ずっと開いてたから…?壊理弾の着弾時も左目を瞑る描写はあったけど右目はなかったんですよね、その後遺症が残ったってことなのか。
敵の"個性"を消せる視界の一部が失われたのはかなりデカい損失だな…まあ今までがチートすぎたとも言えるけど。
眼帯と言えばNo.292の巻頭Cのスチパンパロでも着けてましたが、あれも伏線みたいなものだったんだな…悪い形で回収されてしまった。
まあでもヴィジュアルとしては正直カッコいいんだよな〜!不謹慎だけど厨二心煽られるアイテム。気怠げな相澤先生の表情と絶妙にマッチしてる。
シンリンカムイは髪が葉っぱと判明。ウルアカに載ってる初期設定によると彼の母親はその見た目の悍ましさから彼を山奥に捨てたらしいです。
まあこの設定が今も活きてるかは不明ですが…ここでチラ見せしたってことは堀越先生にもその過去を掘り下げるつもりは一応あるのかな。
「人々から求められる者をヒーローだと言うならば」「あの日ヒーローは消えた」は幼馴染に拒まれても救けようとしたデクと同じ…!
だからこそこの定義が間違いだと解る。そして彼は今も救けを求めてない死柄木を救おうとしており…味方側全体の最先端にいるのがまさに主人公。
親父の宣誓を見てほくそ笑む荼毘。エンデヴァーの言う「みんな」には彼も含まれてるよな…そして今も父親も見てる、ただしヴィランの荼毘として。
「俺を見ていてくれ」は多分息子の燈矢として…って意味だったんじゃないかな。父子の再戦の果てにその瞬間が訪れると信じたい。
OFAについてのエンデヴァーの回答が「わからない」なのはOFA師弟のため…とすれば彼もやはりその存在は把握済みか。
デク(OFA)が死柄木に狙われた事による被害はないんだけど今はどこに批判の矛先が向くか分からないからな…その意味でも当然OFAの正体は秘密にした方がいい。
そして遂にクラスメイトにも明かされたOFAの存在…いや本当一気にバラしたな!まあ元々自壊したり系統が違いすぎる「黒鞭」だったり怪しまれる要素はあったけど、
それにしたって唐突すぎる。A組の皆からすれば困惑するしかないよ…彼らへの恩義からくる告白なのは解るけど。
一応書かれてるのは「僕の力はオールマイトから授かった特別なもの」だけでOFAのルーツや元無個性のことは書かれてないんですよね。
まあここまで知ったらそれらの件もある程度察せそうだけど…。必要最低限の情報しか伝えなかったのは危険から遠ざける上で最善の判断ではある。
「彼らが辛い時 誰が──…」はB組との対戦時にもあった「ヒーローが辛い時誰がヒーローを守ってあげられるだろう」という問いと同じもの。
「黒鞭」暴走時に救けたお茶子も結局OFAを抱えたデクの辛さに気付けなかった訳で…彼女の責任ではないけど悔しく感じるのは当然の反応。
そんなお茶子が口にしたのは「ばかやろう」。思えばデクもかっちゃんに「勝って!!超えたいんじゃないかバカヤロー!!!」と叫んでたな…。
本作では救ける側から救けられる(ことを拒む)側への憤りの言葉なのかもしれない。いつも救ける側のデクがそれを拒む側に回ってしまったと。
AB対抗戦で「"無個性"で戦うってこと!?」とも言ってたけどお茶子ならそれを申し訳なく思ってくれそうだな…。
元無個性だと知らなかった彼女に非はないけどデクにとっては今も尚そのコンプは深いだろうし。あの回でいずれお茶子はOFAを知ると予感したけど今回がその刻だったか。
デクに「君の!」「力じゃないか!!」と激励された轟くんの心境も気になります。「黒鞭」発現時に緑谷は元々"個性"の複数持ちだったのではと疑ってた彼が、
むしろその逆の無個性だったと知ったらどう思うか…。いつか彼の方からもデクに「(OFAは)お前の力だろ」と言ってほしい。
そして宣告された「No.306 終章開幕」…!ここ最近の展開から覚悟はしてたけどこうも直球に突きつけられると寂寥感ヤバいっすね…。
爽やかに散る桜と治安最悪な街の景色の差が見事にそれを演出してる。国全体が荒れて主人公は学校を離れるとかマジでハリポタ最終巻みたいだ。
今デクは独りでAFOin死柄木から逃れつつOFAを習得してる最中?トップ3+校長とは裏で連絡取ってるのかな。引子さんにOFAの件は話したのか、
それとも黙って去ったのか…そして未だに音沙汰ない久は何やってんだマジで!もうとっくに父親としての責任疑われても仕方ない段階だぞ!
オールマイトは兎も角、かっちゃんは流石について来てないかな…彼の学園生活送る権利を奪うとかデクの方が遠慮しそうだし。
そのために生徒で唯一OFAを知る立場から解放したとも言える。そしてかっちゃんは自分を遠ざけたデクにブチギレるってブーメランすぎる憤り方してそう。
デクのポーズ、そして彼が立ってる怪物の彫刻はバットマンのパロかな。
今まで雄英生として華々しく活躍してたデクが今後はバットマンのような所謂ダークヒーローとして孤高に戦う…その未来を象徴した構図に見える。
堀越先生らしい闇に怯えつつも思わず感嘆してしまう一枚だ。
両腕両脚が無事っぽいのは一応安心できる点か…しかし合宿襲撃後に「二度と同じような怪我が続けば」「腕の使えない生活になる」と言われてたのによく治ったな。
リカ婆の治癒だけで済んだのだろうか。それとも何か後遺症が残ったか…でも今動けてるだけで正直御の字だよなあ。
背中に着けてるマントはやはりグラントリノのものですかね?
菜奈さんが生きてると言ってた以上生存は疑ってませんが、あの重傷では戦線復帰は無理でもおかしくないし、デクに託されるのは自然な継承。
ただ旗めくマントのせいでデクの姿がより寂しく見えてしまったのは確かだ。
「でっけー敵」はNo.1冒頭の「でっけー敵!!」のリフレイン…!
しかしあの時と違ってえらく哀愁漂ってるのが破滅へ向かってる感ヤバいです。無個性だった頃の方が希望に溢れてたのが皮肉というか。
下から見上げるのではなく上から見下ろす位置にいるのもその変化を象徴してる。
転弧に対する救出宣言は嬉しかったけどその代償がデクの死とかいやホント無理マジ勘弁!って感じなんで、どうかヒーロー皆で彼をこの世に繋ぎ止めてくれると祈りたいです。
お茶子が今回悔しがってたのはその一人になるフラグだと信じてる…!そしてデク茶ENDへヒアウィーゴー!