※この記事は「僕のヒーローアカデミア No.285 爆豪勝己:ライジング」のネタバレを含みます。未読の方はご注意ください。
前回でついに決着____する筈もなく!ただひたすら拳を、蹴りを、死柄木に叩き込むデク!!USJ編のオールマイトvs脳無を彷彿とさせるラッシュですが、熱いというより正直恐ろしい。
そりゃ75%の死柄木を拳一発で沈めたら安すぎますが、ここまで自己犠牲極まってるともはや悍ましいよ…。
「二度か三度か…同じような怪我が続けば」「腕の使えない生活になる」は合宿襲撃後、医師から直接告げられた言葉。
前回の感想でも言いましたが、ライジングも含めれば許容上限を超えるのはこれで二度目なんですよね…。で、この壮絶な拳の乱打____うぐぐ、正直直視したくねえ…!
「デトロイト」はお馴染み拳のストレート、「セントルイス」はデクオリジナルの蹴り技です。
「ワイオミング」は…No.282で繰り出してたのを見る限り、相手に腕を思いっきり叩きつけるって感じか。
今まで習得したSMASHを全て放出してる…って点だけ見れば王道で熱いんだけどなあ。
「俺の夢を」「阻む!」はライジング終盤の「俺の道を……阻むな……!!」を思い出すセリフ。
この単語の一致を聴くに、やっぱりナインは死柄木の前座だったんだなって…。
アイツも最初OFAを奪おうとしてたし、要はナイン戦≒幼馴染が肩を並べて戦えた場合の死柄木戦だったんでしょう。
「その為の」「力だ!!」はデクらしく勇ましいと同時に、悍しくもあり…。
AFOを持つ死柄木に向けた回答として、OFA後継者としては100点満点のセリフですが、まずそのOFAがそろそろ危うい力と見做され始めてるからな…。
破滅に向かうと改めて宣言が為されたようにしか聞こえない…。
「テキサス」は拳の風圧で敵を吹き飛ばす技。近づくと掌の穴でOFAを奪われるから少し離れた距離から…ってことか。
オールマイトがNo.1でヘドロからデクを救ける際に放ったSMASHを、遂にデク自身が繰り出した…とだけ書くと感慨深いんだよなあ。
こんな狂気に塗れた絵面でさえなければ!
戦いの様子からデクの敗北を予期するかっちゃん。他にOFAを知る者がいない今、その悲劇を察し、回避させる為に動けるのはデクの成長をずっと見てきた彼だけ。
ゆえにその推察にも確かな説得力が感じられます。デクへの感傷的な態度を悟らせもしない冷静な言動が今はクッソ心強い…!
「ああ何を…」「うるせー俺に掴まれ」は今回数少ない暴言だな…いつもが酷すぎるからこれでも大分マシに思えるw むしろ稀少なクソ煮込み要素に安心感すら覚えるぜ。
まあこの程度は普通の戦友同士でもありそうな軽口だからなあ。今この土壇場で咎めるのは野暮ってもんでしょう。
轟父子に指示を出すかっちゃん!元々才能マンなだけあってか、指示内容も簡潔かつ的確…!おまけにB組との対戦時のような勝手さも消え失せて、真っ当な指揮官に見えるぞ…!?
まあNo.1相手に頼む側の立場でさすがに横暴にはなれんのだろうけど、それにしてもこんな彼はなんか新鮮。
かっちゃんの意図を察し、「任せろ」の一言で応じてくれたエンデヴァー__優秀すぎるし頼もしすぎるぜ!
オールマイトとは異なる、周りに支えられながら苦難に抗う新たなNo.1のスタイルを実践できてる。プロとして学生に任せきりにせず、即復帰する選択をしてくれて安心できた…!
逆に「そんな…子どもに───…」と動じたロックロックさんもまた自然な反応。覚悟の決まった子供たちを心配してくれる大人がここまで有難いとは…!
今この場で唯一の清涼剤。轟くんに託されて認識を改めてくれたのも嬉しいです、心配しつつも信頼する…これ以上なく最適な対応だ。
轟父子+かっちゃんで死柄木に接近!宙に浮上して戦闘中の仲間の救出を試みる…って点では少し神野の爆豪奪還を思い出します。
恐らく彼は無意識だろうけど、こういう"個性"のコンボを発想して味方に指示出す姿がもうデクっぽいよなあ。あの時と救ける/救けられる側の立場が逆転してる。
「緑谷…頑張れ…!」は体育祭決勝の「負けるな頑張れ!!!!」を思い出させるセリフ。
様々な経験を経て轟くんもまたデクにエールを贈る側になったんだな…と思うと感慨深いです。
他人を救ける為に嫌いな親父とも共闘できてるのは立派な成長だよ…!さりげないけどグッとくる一コマだ。
そしてNo.281の「そのまま頑張れデク!!」と重なるセリフでもあります。
エンデヴァーにしてはやけに口調が丸いと思ってたけど、父子揃った単語でデクを応援させる為だったのね…。
本来のエンデヴァーの性格はこっちの方で、彼もまた息子と同様に誰かを応援できる人物だったのかもな…。
OFAは「呪われた力」__以前物間くんのセリフで暗喩されたことはありましたが、OFAを知る者から直接その指摘がされたのは初めてです。
OFAを神聖視する継承者たちではなく、むしろその器であるデクを畏れたかっちゃんだからこそ気付ける真理…。それが彼の物語上の役割だったって訳か。
どうやらデクに複数"個性"が発現すると知った時点でOFAを危険視してたっぽいなあ。「あいつとおんなじじゃねえか」は遠回しな忠告だったと。
そりゃ現役(&元)継承者に向かって「呪われた力」なんて言える訳ないからな…。ぶっきら棒に見えて気遣ってくれてたとか感謝が尽きねえ…!
「ワン・フォー・オール(それ)は…」に続く言葉は何だろう。俺たちに夢を見せてくれた、だから今俺が守らなきゃいけねェ…そんな感じ?
だとしたらかっちゃんはOFAの功罪を客観的に捉えてくれてるんだな…。今までデクにも死柄木にもオールマイトにもAFOにもなかった貴重な視点だ。
回想には爆破した例のノートも。水槽に浮かんでるところがかっちゃん視点で映ってるってことは、デクに回収される前に彼も自分で捨てたノートを見ていたのか…?
とりあえずあの所業は虐めだったと自覚してそうで安心しました、元から忌まわしい記憶だけにそりゃ忘れらんねえよなあ。
「『頑張れ!!』って感じのデク」はお茶子に意味を変えてもらった筈の尊い言葉。にも関わらず、今のデクはむしろもう頑張るなと言いたくなるような姿で…思わず目を背けたくなる。
あの麗かな一言がこうも残酷に聴こえてしまうとは…これは「呪われた力」と評したくなる気持ちも解る。
恐らくかっちゃんは池ポチャして手を伸ばされたあの瞬間、その自己犠牲の精神に今の狂気に塗れたデクの片鱗を感じ取ったんだろうな…。
そりゃこんな顔を自分に向けられたら怖いに決まってる。無論虐めを正当化する理由にはなりませんが、遠ざけたくなる気持ちは心から理解できたよ…。
死柄木を羽交い締めにして…プロミネンスバ──────ン!!!!宙で放つ最大火力といえばフード戦を思い出しますが、今回はそれをPlus Ultraするような迫力…!
少しでも掌に触れたら即死なのによく近づけるわ…多分少しも手を動かせないように意識して固定してるんだろうけど。
体が灼ける中で死柄木の意識に現れたのは__…毎度お馴染み!AFO先生!!ず、ズル〜!前に「君は離れ時を見誤った」とかオールマイトに言ってたじゃん!
アンタも全然弟子離れできてないじゃん!そりゃデクも継承者たちに見守られてるけどさ〜…。ここで助太刀はちょっとズルくない?
このAFOは単なる死柄木のイメージなのか、それとも実際にAFOが干渉してきたのか…。
後者ならAFOには死柄木の肉体の乗っ取りが可能と示された訳ですが…できればその線は考えたくないなあ。
今回は一時的に手を貸しただけで、AFOは死柄木自身にちゃんと全てを託してると信じたい。
とりあえず死柄木は一度AFOを引っ込ませたのに結局救けられたんだから、そこはしっかり反省してほしいですね!そんなんじゃ立派な魔王にはなれねえぜ!
まあ今はまだ75%、100%に至れば必ずデクとは再戦になるだろうし、それまでに新たなAFOとして一人で戦えるほど強くなってくれ…!
エンデヴァーを貫いたのは神野でAFOも使用してた「個性強制発動」。
…いや、この黒鞭に似た"個性"自体にその効果はなくて、あの時はこれで黒霧の体を弄ることで強制的にワープゲートを発動させたのか…?
まあいずれにせよ、今回使われた"個性"と同種のものなのは間違いない筈です。
原型がないほどの黒炭と化した肉体で「弟を───…」と呟く死柄木。これじゃもはやいもしない弟を求めて彷徨うただの亡者だよな…。
そこに死柄木としての自我は果たしてどれほど残ってるのか。そして矛先がデクに向き、その体を貫くと思われた瞬間___________「その時」「俺の頭には」
「何もなくて」「ただ」「身体が勝手に動いてた」あ、あああ…喪失感がすっげえ…。この行動でかっちゃんを構成する何かが決定的に変わり、同時に今それが失われかけてる。
衝撃…はもちろんあるんだけど、それ以上にこの光景が遣る瀬なくて、ヒロイズムの象徴としては美しくもあり…。
「身体が勝手に動いてた」と語るかっちゃんの行動原理____それはNo.1で彼をヘドロから救ける為に駆け出したデクそのもの。「考えるより先に体が動いていた」。
あれから285話にも及ぶ歴史を経て漸くデクと同じヒーローの資格を得た証明が、まさかこんな形になるなんて…!無情すぎる…。
前回この戦いはかっちゃんの救けるヒロイズムの目醒めと予想しましたが、まさにその通りになったな…。
自分より弱いのに救けようとしてくるデクを拒んでた彼が、今度は逆に自分より強いデクを救ける為に動く。この立場の逆転が彼の救けるヒーローとしての資質を何よりも証明してる。
ただこの自己犠牲を贖罪とはさすがに呼べないよな…。贖罪の為に動いた結果ではあるけど、贖罪そのものと表す訳にはいかない。
何故なら彼にとっての贖罪は今後もデクに協力することであり、今この場でそれを放棄して死ぬことではないから。だからこの行為を贖罪としては讃えたくない。
無論デクの為に動いたことは間違いではありません。彼に悔やむべき点があるとすればデクを救けた後、自分も回避できなかったこと。
両方生き延びて引き続きデクの訓練に付き合う____それこそがかっちゃんの決意した贖罪のはず。そして今その道を断たれかけてることが心から悔しい…!
でも一番悔しいのは当然かっちゃん自身でしょう。今の彼は自分の弱さに真摯だから何が至らなかったかも全て理解してるはず。
一方デクは彼の負傷を自分のせいと考えそうで、そんな自責もかっちゃんには屈辱でしかなくて____この後2人がどんな無念さを抱えるか、大体は想像できるな…。
「爆豪勝己:ライジング」はその成長に対する最大級の賛辞であり、この上なく皮肉なサブタイでもあり…。
劇場版第2弾で希望に溢れる印象を与えた「ライジング」を、こんな儚い回で一人のキャラに冠してくるとは…。歪な表現だけど間違いなく堀越先生のかっちゃんへの愛は本物だよ。
彼の自己犠牲にいつかデク側からアンサーが示されるなら、その回のサブタイは「緑谷出久:ライジング」になるんでしょうか。
少なくとも今回のかっちゃんの行動は「ライジング」を冠されるに相応しいものだった。だからもしその刻が訪れるなら、デクにもそれ相応の活躍を求めたい…!
さて、これで幼馴染が両方大怪我負っちゃったけど一体どうするんだ…!?壊理ちゃんの巻き戻しで解決…?でもどちらも意を決した行動だったからこそ、簡単には覆ってほしくないよなあ。
この戦い自体はそろそろ中断されるだろうけど…ここから彼らが再び戦力に返り咲く道が見えない。
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