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僕のヒーローアカデミア No.235 『志村転弧:オリジン』感想

※この記事は「僕のヒーローアカデミア No.235 志村転弧:オリジン」のネタバレを含みます。未読の方はご注意ください。

 

【巻頭C】

 本編の内容とは対照的に瑞々しく爽快感溢れるカラー。背景はデクのイメージカラーの緑衣装はかっちゃんのイメージカラーのオレンジがモチーフって感じでしょうか。

 久々に本誌でA組の面子が見られたのはやっぱ嬉しいっすね〜。本編に入る前に良い清涼剤となってくれた。

 

【本編】

 リ・デストロ絶対壊すマンと化した死柄木、なんか急に悟りを開いたように真っ白になってて草。何だこの謎の発光は…w

 「お父さん」を手にして虚ろに見つめる姿が神々しすぎる。前回の俊敏に動き回る様から一転、緩急をつけたように落ち着いたのが逆に得体の知れない怖さがあるぞ…。

 

 四ツ橋社長自身は格落ちしてないんですが、ふっきれた死柄木をこうしてウエメセで問い詰めてると小物臭い印象なのは否めませんね…。

 逆に死柄木には余裕が生まれたように見えます。「俺は本当にただ壊すだけだ」もヴィランとしてのスタンスにブレがなくて確かな力強さを感じる。

 

 緩やかに始まる回想、そして表示される『志村転弧:オリジン』のサブタイ!この文字列を目にした瞬間、遂にきたか〜!!と盛大に興奮しました!

 このサブタイ自体はNo.222の時点で予想してたけど、いざ訪れるとやっぱ息を呑むよね…!

 本作におけるオリジンの文字の重さを改めて痛感した。

 

 ここで転弧としてのオリジン回は本気で感慨深い…!

 ヒーロー側の主人公のデクのオリジン回であるNo.1、それから5年の時を経て遂にヴィラン側の主人公の死柄木のオリジン回が訪れたのが充足感ハンパない。

 今回で漸く一つのターニングポイントを迎えた、そう確信できる熱さがあるんだ。

 

 そういう意味では今回でやっと死柄木は主人公としてデクに並べたと言えるんじゃないかな。『僕のヒーローアカデミア』の主人公がデクで、『僕のヴィランアカデミア』の主人公が死柄木。

 主人公に必要な原点の記憶を取り戻したことで、漸く主人公に昇格できた。そんな実感があるのです。

 

 当時の転弧は5歳、今の死柄木は20歳なのでこの回想は15年前のものですね。そして「志村転弧<5>」はNo.1の「緑谷出久<14>」と同じ字体!

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 ここもデクと重ねることでオリジン回であることを強調する演出です。こういう細かい部分まで凝ってくれるとより対比としての意図が読み取れる。

 

 転弧を見てまず目を奪われたのが今とは違う髪の色。AFOと出会った時にも白髪に混じってチラホラ黒い毛先があったので予想はされてましたが、白髪はやっぱり後天的なものだったのね。

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 とすると、今の髪に変色した原因はやはりこの後訪れるであろう"個性"事故、だろうか。

 

 崩壊は死柄木自身には効果ないはずだから、"個性"そのものが転弧の髪に作用したというよりは、"個性"事故による過度のストレスの影響で白くなったって感じなのかな。

 もしそうなら同じく髪にストレスの影響を受けた四ツ橋社長と共通する形にもなるし、考えられなくはない。

 

 「お父さん」こと弧太朗さん、想像してたよりずっと若々しいな…。堅苦しそうなイメージだったからもっと歳いってるかと思ってた。

 転弧の「」が弧太朗さんの名前から取ったものなら、「」の方はお母さんの名前の一部なのかな。ここは家族全員のフルネームが公開されるのを待とう。

 

 志村家ではヒーローの話はタブー。概ね想定内の家庭環境だったものの、やっぱり見るに耐えない光景だ…。

 転弧はもちろん、そのルールを課した弧太朗さん自身が悲痛に見えるという話でもある。息子たちを母親と同じ目に遭わせたくない、その気持ち自体は理解できるから安易に憤れない。

 

 その上普通は4歳までに発現する"個性"が5歳になっても発現しなければ、尚更ヒーロー志望には反対するよな…。

 この時点では転弧は無個性、つまりオールマイトと出会う前のデクと同じ状態だった訳だ。ここから"個性"が突如発現するか、他人に譲渡されるかで2人の立場が別れていくのね。

 

 幸いだったのは母親や祖父母が弧太朗さんの手荒い指導に異を唱えてくれてたことか。

 ただ乱暴には反対してもヒーローになる夢の抑圧には何も言わなかった辺り、彼らも菜奈さんに関する事情は知ってたのかな。

 だから弧太朗さんと対立してまで転弧の夢を応援する気にはなれなかった…と。

 

 お母さんも強くは否定してないものの「ヒーロー…まだなりたい?」と聞いてた辺り、できればヒーロー以外の道を歩んでほしいって気持ちが少なからずあったんじゃないかなぁ。

 決して責められはしないけど、甘えられる大人が背を押してくれないのは子供にとってやっぱり辛いものだよ。

 

 そういう意味で転弧ママは引子さんと対照的です。

 ヒーローになる夢を応援してたけど謝ったことで意図せず息子に否定を突きつけてしまった引子さんと、直接は否定しなかったけど心から息子の夢を応援できなかった転弧ママ…。

 母親との関係も込みでデクと転弧が対比されてるのが分かる。

 

 仲間外れにされてた友達と遊んであげてたのはデク…というよりは、デクを仲間外れにしようとしてた爆豪との対比だろうか。

 こじつけ臭くはあるけど彼もまたオリジン回を経た一人であるなら、転弧と部分的に対比されてる可能性もなくはない。まーこれに関しては推し贔屓入ってるけどな!

 

 今までオリジン回が描かれたデク・爆豪・轟はオールマイトに憧れてるのが共通点でしたが、転弧にとっても「転ちゃんはオールマイト」と言われて喜べるほどのヒーローだったのね。

 それだけに先の3人と違って、今そのオールマイトを憎むヴィランと化してしまってる事実が惨すぎる…。

 

 「父の建てたこの家は」「僕を優しく否定する」はぶっちゃけ"個性"が発現した転弧に塵にされるフラグとしか思えないんですが…!

 この家が転弧にとって否定の象徴なら、そこからの解放を示す意味でぶっ壊されるくらいされてもおかしくない。今からもうその時が怖いよ!

 

 菜奈さんの写真を弟に見せる華ちゃんはNo.227の回想でも見た光景。ただ華ちゃんもヒーロー志望だったのは今回初出の情報ですね。

 こうなると華ちゃんの"個性"も気になってくるな…。恐らく彼女は無個性ではないんだろうけど、他の家族の"個性"も不明だから現時点では全く予測できない。

 

 その励ましから一転、華ちゃんによる裏切りはうっわツッレぇ…。子供が咄嗟についた嘘だし恐らく彼女も後々悔いてはくれるだろう。

 だがそれでも今まで優しいお姉ちゃんのイメージが強かっただけにショックがクソデカい。ここはせめて後に華ちゃんからの謝罪があったと信じたいです。

 

 弧太朗さんの「他人をたすける為に」「家族を傷つけるんだ」は思いっきりブーメランだよな…。母親に一人にされた辛さはそりゃ否定はしません。

 でも今その手で家族を傷つけてるのは他でもないアンタだろと。その苛立ちを息子に向けても仕方ないだろ…と、もう遣る瀬なさしか湧かない。

 

 息子に手を上げた父親といえばやはりエンデヴァーですが、その理由は弧太朗さんとは正反対ですね。

 ヒーローになることを強要されて暴力を振るわれた轟くんと、ヒーローになることを否定されて叩かれた転弧。ここもまた先にオリジン回を迎えた者との対比と言えるんじゃないかな。

 

 他の家族に救けを求める顔をしてる転弧は、やはりNo.1でヘドロに襲われ救けを求めてたデク爆豪を思い出します。

 あの時彼らの前に救けてくれる存在が現れなかったif、そんなシチュだと思い知らされる。命を落とすような深刻な事態ではないものの、残酷な対比なのは間違いないです。

 

 菜奈さんからの手紙はもうこれだけで涙腺ブチ壊されますね…!

 菜奈さんって先々代のOFA継承者ってことで今までどこか神格化された存在だったけど、この手紙によって漸くどこにでもいる普通の母親だったという実感を得られました。

 これはどう足掻いても泣かざるを得ない…!

 

 菜奈さんの作ったオムライスを弧太朗さんが採点してる一コマはすげー微笑ましい…!

 僅かではあっても確かにこんな幸福な時間は2人に存在したんだなと、それが分かっただけで満たされた気持ちになれました。

 菜奈さんが最後の最後まで母親で在ろうとしてくれた事実がクッソ尊い

 

 「弧太朗はお母さんのこと嫌いになっちゃうかもしれない」は一見その通りになってるように見えますが、こうして律儀に手紙を読み返してるとやはり本気で嫌ってるとは到底思えません。

 菜奈さんのことが大好きだからこそ独り遺されたことに苦しんでるのだと、その確信が更に強まった。

 

 泣きながら目元を掻く転弧はいよいよ"個性"発現の前触れが訪れてて、モンちゃんはよ逃げて!!という気持ちになりますね…。

 ここから家族全員手だけになるBAD ENDが待ち受けてると知りながら読まなきゃいけないと思うと気が重い。5周年の今、読者も覚悟をキメて読む刻がきたようだ…!

 

 

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