※この記事は「僕のヒーローアカデミア No.229 All It Takes Is One Bad Day」のネタバレを含みます。未読の方はご注意ください。
いつも真逆の台詞を交互に繰り返してるトゥワイスですが、今回ばかりは錯乱の仕方がまともに聞こえるのが悲しいと言う他ありません。
いきなり自分の姿の人形見せられたらそりゃ俺だ!!とも誰だ!?とも両方思うよね!!動転してるのは確かだけどこれが彼特有の反応、とは言いきれない。
近属は遠くの人形への指示にはデバイスと通信システムを用いてるとのこと。前回の時点で「操り人形に変えられる」とナレで説明されてたので、近くの人形は別にそれら無しでも操れるみたいですね。
つーかじゃなかったらこの異能、単体だとダッチワイフくらいしか使い道が思いつかない。
トゥワイスのトラウマの情報元が義爛の顧客データとは益々エッグいわぁ…。義爛としてもキツいよこれ。
相手の「最も嫌がる事」を考えるのは死柄木がAFOから受け継いだ考えであり本作におけるヴィランの鉄則ですが、近属もしっかりそれを実行してます。相手への嫌がらせに余念がない。
そんで自分の姿の人形がヒミコちゃんを殺すところを見せつけられるのは、なぁ…。もしこれが最後まで果たされてたら精神分裂どころでは済まなかったんじゃないだろうか。
解放軍に引き入れて利用するどころか、トラウマでもう一生"個性"使えない状態になってしまってもおかしくない。
AFOや死柄木との違いは彼らは対象への嫌がらせ自体が目的だったのに対し、近属にとってはあくまでトゥワイスを解放軍入りさせる為の手段であることか。
前者はそこに愉悦を感じてたけど、後者は目的のためにそれを淡々と実行してる。まあどちらにしろ人の心がないのは確かだけどな…。
分倍河原仁くん(16)の回想。トゥワイスは見た目から勝手に30代前半くらいと思ってましたが、だとするとこの出来事は15〜20年くらい前でしょうか。
今のデクたちと同じ年齢なのがその悲惨さをより強調してて辛いっすね…。華々しくヒーローを目指してる雄英生とのギャップがデカすぎる。
個人的に意外だったのが躓きのキッカケに"個性"が関係なかったことです。
分裂症の原因は彼のその"個性"によるものでしたが、今回はバイクで轢いてしまったってライダーなら誰にも起こり得ることだよなと。
そこに今までとは違った、良い意味でのヒロアカっぽくなさを感じたんです。
例えばヒミコちゃんが刺殺に走った原因はその"個性"からくる好奇心で、それを悲しく思いつつも"個性"という架空要素によって別の世界の話と受け止められました。
だけどトゥワイスの場合現実にあり得るトラブルだったことで、途中まで本当にあった誰かの話のように聞こえてしまった…。
んでもって自分の姿の分身を相手に会話してるのはもう虚しすぎる…。
ナルトが影分身相手にトランプで遊んでたのを思い出す光景だ。サスケェにも「孤独を紛らわせる為の術」とか言われてたしな。
ここら辺、堀越先生のNARUTOリスペクトが伺えて面白いです。卑劣な"個性"だ…。
そして自分の分身と共に犯罪に手を染めるトゥワイス。何が悲しいって両親が敵犯罪に巻き込まれて死んだのに、トゥワイス自身も結局そのヴィランと同じ犯罪者になってしまったことだよなぁ。
いやこの頃は恐らく強盗とかだけで人殺しはまだしてないんだろうけど、それでもですよ。
その後分身たちによる例の争いが起こり、分裂症に苦しんでた時に連合を紹介されたって、義爛はまさにトゥワイスにとっての救世主じゃないか…。
あそこまで頑なに義爛を救出しに行くことを望んでたのも納得ですよ。正直コイツらがヴィランってことを忘れそうになるレベルで尊い。
あと「使い方によっちゃ国も堕とせる」とその有用性に指摘が入ったのも良かったです。
蓄積されると消える分身へのダメージが骨折程度なら戦闘にならない限り消える恐れはほぼないし、近属が四ツ橋社長の代用として目をつけたのも納得がいった。思ってたより耐久力高かったのね。
そんで今まさに「骨折」をさせられて「痛ぇのに消えねェよ俺!!」と叫んでるともうね、辛すぎて見てらんねぇ…。
狂気に至って自分自身すら信頼できなくなった人間が、唯一信じられる感覚が自分の痛みだったとか悲痛すぎる。この一言だけで今までの彼の苦悩が全て想像できてしまった…。
ある程度ダメージを負うと消えてしまうから負傷を避けてた、って発想は盲点でした。分身の耐久力の設定が語られた時点で考えられたのに全く浮かばなかった。正直悔しさすら覚えるレベルです。
ナイトアイに負傷させられかけた際に慌ててたのも、消えるのを恐れてたからなんでしょう。
絶体絶命かと思いきや襲われるヒミコちゃんを目にして覚醒、「どけよ偽物」の一言と伴に見開きで自分を分身とかグワァーーッ最高すぎる!!!!!
展開自体の解放感は勿論のこと、画としての迫力がマジで凄まじい。読めてた筈の展開なのにそれでもテンションブチ上がってしまった…!
今までトラウマを抱えてた彼が吹っ切れるとなれば、自分は本物だと確信するキッカケとしてそれなりに説得力ある描写が必要です。
そこで示される痛みで消えないという客観的な事実、そして仲間を殺そうとする自分を見た末の「俺は仲間を殺さない」。こんなの納得するしかないでしょ!!
本体と違って分身がフード装着してるのは、この姿が彼にとって分裂しないことのイメージだからだろうか。
包まれてない『分倍河原仁』が争う光景は見たことあるけど、包まれた『トゥワイス』なら争わないと信じてる、と。まあメタ的に見れば多分近属の人形と見分けつける為だろうけど。
あとトゥワイスは以前自分の分身に更に分身させ…って方法で自分を増やしてましたが、今回も同じ方法で増やしたんでしょうか。
見開き一コマで増えてたからか、本体が一気に大量の分身を作ったように見えたんですが。その場合具体的にいくつまで増やせるようになったのか気になるな…。
仮に各個体の作れる分身の数が2つで変わってなくても、それぞれの分身はまだ自分が増やした自分以外にもう1体分身を作り出せるので、充分脅威であることに変わりはないです。
彼らが1体ずつ連合の仲間を分身させればそれだけで強力な軍隊ができ上がる。
いやーマジで胸熱な展開だなぁ…。
ヒミコちゃんや死柄木の時も思いましたが、自分たちの異能の解放のために利用しようとした奴らの異能を解放してしまい、逆に追い詰められるって流れが皮肉効きすぎてる。
ここまで綺麗に意趣返しキマってるともはや清々しさしか感じないぜ。
そういう理由もあって僕はここ最近の覚醒イベントの連続には肯定的です。
ご都合と捉える読者もいそうですが、トゥワイスや死柄木に関してはトラウマが描かれた時点で前振りは為されてたようなもんよ。
まあ荼毘とかは今でも充分強いから全員が全員覚醒ってことにはならないでしょうが。
最後に表示されたサブタイ『All It TaKes Is One Bad Day』はバッドマンにおけるジョーカーの台詞ですね。
THE "All it takes is one bad day to reduce the sanest man alive to lunacy...Just one bad day." pic.twitter.com/bqzBQPIhOw
— Mark Hamill (@HamillHimself) March 14, 2016
意味は「狂気に生きる正気な人間を減らすには一日の悪い日で十分」。これは当然たった一日で人生の転落が始まったトゥワイスのことを指してるんでしょう。
煽りの「倍返しだ!」はちと古臭いと思ったクチですw 状況には合ってるけどあのドラマもう6年前だしなぁ…と思ったら何と、数日前に続編の製作が発表されたばかりなのね。めっちゃタイムリーじゃん。
この原稿が描かれたのは2週間以上前だろうし、意図せぬ奇跡の一致だったに違いない。
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