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僕のヒーローアカデミア No.222 『死柄木 弔:Distortion』感想

※この記事は「僕のヒーローアカデミア No.222 死柄木 弔:Distortion」のネタバレを含みます。未読の方はご注意ください。

 

【扉絵】

 堀越先生、Twitterにうpしたイラストだけじゃ満足できず、扉絵でも邦画パロしてくるとか貴方って御人は…!

 デクの蟲化といえば以前すまっしゅでも蝿にさせられてましたが、まさか本家もやってくるとは思わなんだ。扱いが完全に主人公のそれじゃねえwwwwwwwwwwww

 

【本編】

 死柄木とAFO、その出会い。神野編でもチラッと描かれてましたが今回はその更なる掘り下げが行われました。

 死柄木の記憶に基づく回想なのでどこまで本当かは分かりませんが、今まで転弧としての情報が少なすぎた彼の過去としてはかなりの情報量なのは間違いない。何この供給過多…!

 

 まず注目したいのは死柄木が転弧としての記憶を喪失してた点。

 サブタイの「死柄木 弔:Distortion(=歪み)」とはその記憶の映像の歪みであり、そして死柄木の心の歪みのことでもあるのでしょう。

 この記憶の解答編が訪れるとすればその回のタイトルは志村転弧:オリジン」でしょうか。

 

 1コマ目、いきなりこちらに向けられる「お父さん」と思われる人物の掌。「やめろ転弧!」という台詞から察するに、愛する息子を何か危険から守ろうとしての行為でしょうか。

 それにしては何か得体の知れない悍ましさがある気もします。考えられるもう1つの可能性としてはやはり虐待、か。

 

 そして掌と言われると連想されるのがやはり"個性"の発動。「お父さん」の意図が何であれ、転弧に対して何らかの"個性"を使おうとしてるようにも見える光景です。

 それが原因かは分かりませんが、死柄木が「お父さん」を着けてる理由としてこの出来事が深く根ざしてるのは間違いない。

 

もう大丈夫 僕がいる」、これはやはりオールマイトの「私が来た」との対比なのでしょう。

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 一度来てもその後去ってしまうヒーローと違って、その後もずっと傍にいることが端的に表現されてる。

 ヒーローに救われなかった転弧が、ヴィランであるAFOに救われた事実を象徴する台詞です。

 

 しかしAFO、そもそもこの事故自体どーせオメーの仕組んだことだろと思えてなりません。例えるなら真人が順平くんにしたことのスケールの大きいverみたいなイメージ。

 尤も真人は順平くんに終始無関心だったのに対し、AFOの方は死柄木に歪んだ執着を抱いてるという違いはありますが。

 

 いきなり氏子が現れて「お父さん」たちを淡々と見せてきたのはすっげぇシュールだな!!唐突にんなモン見せられたらそりゃ転弧も吐くよ!

 この人元々デクの診断医という疑惑が持ち上がってからずっと独特の雰囲気がありましたが、今回のこの一コマはそれが極まったような絵面だった…w

 

 気になるのは死柄木が今着けてる手の数と転弧が見せられた手の数が合わないこと。死柄木が今着けてる手の数は全部で7組ですが、転弧が見せられたのはざっと8本、つまり4組しかない。

 仮に2組は両親、もう2組は菜奈さん夫妻じゃない方の祖父母だとして、あと3組は誰のものだろうか。

 

 「君は突然変異種 誰にも知りえぬ"個性"が発現し」「その手で家族を殺めてしまった」この言葉をどこまで信用していいのかは分かりませんが、壊理ちゃんという前例がいることを思えばハナから嘘と決めてかかることはできません。

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 肉倉先輩の語った"個性特異点"である可能性もある。

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 そして起こるフラバ。映されたのは可愛いワンコ、こちらに向かってくる大人の脚、二つ結びの女の子、白い短髪の人の後ろ姿、哀れむような男の目…etc。

 これらの映像が何を意味するかはまだ不明ですが、この時点ですでに何かとんでもないことが起こったと想像させられる内容です。

 

 記憶を消去・改竄する"個性"もヒロアカ世界ならありそうだし、AFOに記憶を書き換えられた可能性が微レ存と思いましたが、氏子との「イジるか?」「いいや」という会話からするとその線は薄そうか。

 どうやら本当に事故による精神的ショックで記憶を失っただけの可能性が高そうですね。

 

 AFOが重視してるのは「記憶」よりも「感情」。これもまた自分にとっての大切な記憶、即ち原点を強く意識することを説いてるヒーロー側と対照的な考え方です。

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 実際轟くんはかつて母親との思い出という「記憶」を忘れてたことで、父親への憎しみという「感情」に囚われてましたからね。

 

 同様に死柄木も今転弧としての記憶を失い、正体不明の苛立ちに囚われている。だとすれば彼が救われるのはその記憶を取り戻し、今の感情から解放された時ではないでしょうか。

 そしてそれを死柄木にさせるのはオールマイトとの原点をしっかり持ってるデクなのでは…と思えてくるのです。

 

 「俺はきっと"全部"嫌いなんだ」、この台詞で思い出されるのは士傑の先生の「"否定"や"嫌い"を原動力にすると 時に目が曇りすぎてしまう」という至言。

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 死柄木は今まさにこの状態に陥ってるのでしょう。それが理解できるからこそ理想を語る彼の姿が今まで以上に悲痛に見えてしまう…。

 

 この漫画、この台詞が言われてた頃はまだこれに当てはまる候補が他にも何人かいました(爆豪、轟父子、イナサ…etc)が、最近じゃ彼らも成長して変わったよなぁと。

 だからこそ今もまだ"嫌い"に囚われてる死柄木の存在が際立つ。ヴィラン側の主人公に相応しい精神状態と言えます。

 

 デートしてるっぽいカムレディ、クソでか「」シャツを着て謎ポーズを取るお茶子、文化祭の時からハマったのかまたドラムを叩いてるかっちゃん…etc。

 どれも死柄木の破壊の対象として示されなければ躊躇なく2828できた風景です。この日常を壊されたくないという気持ちが湧いてくる。

 

 氏子が死柄木に最初から協力するつもりだったのは予定調和とも言えますが、ヌルゲーとは感じません。

 前回「嫌っとるワケじゃない」と言ってたから違和感はないし、何よりマキアを認めさせるという課題がまだ残ってるしな。無条件に報酬が与えられる訳じゃないなら余裕で許容範囲内だ。

 

 どちらかと言うと「チョロ」いのはスピナーの方のような…。死柄木の過去を全て知った訳じゃないのに、「カラッポ」って単語が出てきただけでシンパシー感じちゃうとか心配になるぜ。

 や、元々荼毘に「空っぽのコスプレ野郎」と言われて否定しなかったので不自然な反応ではないですが。

 

 ただスピナーの離反を抑えるために狙って「カラッポ」って単語を口にしたようにも聞こえたんだよなぁ。

 だとすれば死柄木の人心掌握の術の向上っぷりがヤバいってことになる。以前はそんな器用なことできるイメージなかったのに、いよいよかつてのAFOのような賢しさが備わってきた。

 

 オールマイトの「命を賭してきれい事実践するお仕事」に対して「敵とは戯れ言を実践する者のこと」。

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 今回ホント対比要素多いな!「戯れ言」という否定的なワードがヴィランっぽいですが、空想の実現を目指してるのはヒーロー側と同じという点はその理想主義への肯定にも感じられます。

 

 ヒミコちゃんに「仲間の望みは別腹」と返したのはUTSUWAの大きさが感じられる一言。しかし彼女のその好きなものがデクであることを思うと衝突のフラグにも思えます。

 仲間の好きなものとして容認するか、自分の嫌いなものとして排除するか。死柄木がどちらを選ぶか、その答えも楽しみだ。

 

 氏子の言う「"研究(ちから)"」とは、脳無に限らず"個性"全般に関する分野の研究のことでしょうか。

 "個性"因子を壊す弾丸の存在を氏子が把握してるかは不明ですが、マキアを認めさせればそれを複製するための環境が手に入ると。報酬への期待を高める課題の示し方でワクワクすっぞ!

 

 そして荼毘からはホークスの存在を匂わせる発言が。これは巧い点と点の繋ぎ方。

 まだそれが誰か仲間に教えてない辺り荼毘は相当個人主義的ですが、それを無理に聞き出そうとしたりせず、「紹介楽しみに待ってるよ」とだけ返した死柄木にはやはりリーダーに相応しい風格を感じます。

 

 下水ワープの持ち主、氏子じゃなかったんかい!前回長々と考察したのがバカみたいだぜ!!

 いや少なくともAFOのと合わせてこのワープが2つ存在するのは確かだから丸っきり無駄だった訳ではありませんが。まだ元の持ち主(=「ジョンちゃん」?)が誰か明かされる可能性はあると信じたい。

 

 そして再びマキアと対峙。死柄木自身はまだ何かを為した訳でも戦力的にレベルupした訳でもないのに、今回1話で一気に成長を遂げたような清々しさを得られたなぁ。

 敵側の進展なのにまるで主人公側のパワーupイベントを見届けたような爽快感があった。正統派主人公感がハンパない。

 

 「王とは」「畏怖され 求められる者 強い者だ」、ハイ「畏怖」と「求められ」ってワードの時点でもう皆察したと思うけどこれ完全にデクさんのことですねありがとうございます!!

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 死柄木の躍進を描いた後にちゃんとヒーロー側の主人公(とクソ煮込み)の存在も強調する、最高の構成だ…!

 

 氏子との接触で漸く次の段階へ進めたと思ったら「敵連合は____消滅する」ってどういうことだってばよ…。文字通り解散したという意味なのか、それとも何かの比喩なのか。

 立ち入りが禁じられた建物と、社長の怪しげな笑み。これだけで何か良からぬことが起こったと察せるぜ…。

 

 

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