僕のコミックアカデミア

イェイ イェイ ヒロアカ最高 ヒロアカ最高 オマエもヒロアカ最高と叫びなさい!!

僕のヒーローアカデミア No.220 『僕のヴィランアカデミア』感想

※この記事は「僕のヒーローアカデミア No.220 僕のヴィランアカデミア」のネタバレを含みます。未読の方はご注意ください。

 

 死柄木がいつもの「僕のヒーローアカデミア」のロゴを壊したのは何このオサレなカット!?

 それも束の間、次に「僕のヴィランアカデミア」のサブタイが表示されればまるで作品が乗っ取られたような悍ましさを感じたぜ…。こちらの存在を認識してるかのような動きで思わず身が竦んだよ。

 

 勿論これしきの事で僕の中のデクさんの主人公性は揺らぎませんけどね。でもこういう主人公というか作品そのものに喧嘩を売っていくスタイルは大いにアリです。

 それまでの平穏を脅かされたようでゾクゾクしたし、読者の頭を切り替えさせて緊張感持たせる上では効果的な演出だ。

 

 ちなみにかっちゃん推しの僕としては彼でこの演出を期待したいところです。「僕のヒーローアカデミア」を怪訝そうに眺めた後爆破し、その後「俺のヒーローアカデミア」が表示されるとかめっちゃ滾るじゃないですか!!

 もしかしたら既にこのパロを描き始めてる絵師がいるかもしれない。

 

 「チョコが嫌いな奴」「ゴキブリが大好きな奴」それ自体は作中のみならず僕らの住む現実にもある価値観です。

 その現実をベースとした世界に"個性"なんて規格外のものが加われば、それが更に多様化するのは当然の道理と言える。その一つがCRCの方々が持つ異能排斥主義なのでしょう。

 

 CRCの皆さんは失礼ながら一目見てネタくせーな!と思ってしまいました。まあ「現代のシーラカンス」と評されてた辺り、恐らく作中でも古臭い価値観と嘲笑されてるんでしょうけど。

 だが少数とはいえ、今まで黎明期以外ではなかった異形系"個性"への偏見が見られたのは興味深い描写です。

 

 異形系の"個性"なんて別に珍しくないし僕も4年以上の連載でその世界観に馴染んでたんですが、黎明期における彼らへの偏見の目を思えばその名残がある方がリアリティ指数は高いよなと。

 実際AFOに救われた牙の青年はその"個性"に苦しんでたし、それと地続きの描写という実感があります。

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 「『異形』は好ましくない言葉」というのも目から鱗な台詞。普段何気なく使ってる単語が、その当事者を傷付ける可能性があるのは僕らの現実でも言えることです。

 その単語が普通に使われる世界観で終わらせず、その属性を持つキャラの視点で掘り下げるのがヒロアカらしいメスの入れ方だ。

 

 CRCが全員ベタな祭服なのはメタ的に見れば雑魚感の演出・作画の簡略化のためなんだろうけど、あえて考察するならアンチ異形の表れか。

 皆と違う見た目を批判してるから、逆に自分たちは見た目を統一する必要があると。ヒロアカはかませ集団一つ取っても想像の余地があって面白いぜ…!

 

 更に言えば彼らって異能解放軍と対極の存在ですよね。異能を持つ者の排斥を主張する集団と、異能の解放を謳う集団

 一方はその主張に固執した結果衰退し一方は主張を隠しながら社会的地位を手に入れたCRCの登場には四ツ橋社長のその賢しさを強調する意図もあった気がするのです。

 

 しかしCRCの皆さん、前時代的な思想をお持ちとはいえ、連合に強盗に入られて全員殺されたのは可哀想と言う他ないです。

 彼らの中には家族や友人を異形系"個性"のヴィランに殺されたみたいな過去がある人もいそうだし、差別的ではあるけど全否定できる集団ではないんじゃないかな。

 

 メジャーで絞殺するトゥワイス、ナイフで刺殺するヒミコちゃん、圧縮で一部分のみ肉体を切り取るコンプレス、その手で壊死させる死柄木、そして大剣を振るうスピナー…。

 このくらい朝飯前と言わんばかりに最低限の戦闘シーンのみでしたが、それでも充分見応えはありました。

 

 特にメジャー一つで複数人相手に立ち回ったトゥワイスはフィジカルすげぇな!

 "個性"のタイプからして戦闘はどちらかと言えば補助担当のイメージだったんですが、今回のような雑魚モブなら普通に倒せるくらいの身体能力はあるのね。

 スタイリッシュで不覚にもカッコいいと思ったよ!

 

 あとザ・ハンドの如く相手の肉体を切り取れるコンプレスの"個性"もヤバい。やろうと思えば合宿編でかっちゃんや常闇くんを閉じ込めるのではなく、殺すこともできたんだろうなと。

 オバホとの邂逅時に片腕を失わせたのはデバフかけてバランス取るためでもあったんでしょうね。

 

 トゥワイスは「宗教って儲かるんじゃねェのかよ!?」と嘆いてたけど、そもそもオールマイトの存在やヒーローという概念自体が宗教みたいなものだからなぁ。

 ヒーローが国教にまでなってる国じゃそりゃ他の宗教は隅に追いやられるよねって納得があります。世知辛い話やで…。

 

 仮のアジトで過ごしてる連合は退廃的ながらアットホームでもあって、見てる分には微笑ましいっすねー。

 トゥガイスは歳の離れた兄妹みたいで可愛いし、荼毘は親といるのが嫌で外出ばかりしてる不良息子って感じだ。というか荼毘に関しては親=エンデヴァーなら実際その踊りなんですけど。

 

 死柄木がカロリーメイトのようなものを口にしてたの、何かすげー新鮮だな…。彼はキャラとしてのモチーフが「」「崩壊」だから、その逆の「」きるために必要な行為をしてる姿が新鮮に映ったというか。

 あ、死柄木も僕らと同じ食って寝る人間なんだな…と不思議な感覚です。

 

 死柄木の言う「ドクター」、登場自体はUSJ編やステイン編のエピローグでしてましたが、そのハッキリとした姿は未だに描かれてません。

 その正体はデクを無個性と診断したツバサ医院の院長であり、自身の孫であるツバサくんを脳無の素材として使ったという疑惑のある人物でもあります。

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 もう一つ気になるのはハイエンド編で荼毘が口にした「氏子さん」との関連性。

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 「氏子さん」=ドクターなのか、彼とはまた別の協力者なのか。

 だが脳無の管理をドクターが行ってたことを踏まえれば、AFOと同じ下水ワープを使ってた氏子さんが同一人物の可能性は充分あると思われます。

 

 CRCに続いてスピナーの地元でも異形系''個性"への差別が残ってると明かされたのは面白い情報。やーこの世界観の細部が掘り下げられていく感覚たまらないっすね!

 ある属性への偏見が存在することに気付かされた時の驚きと納得が、現実におけるそれと同じ感覚と言いますか。

 

このスピナーがいたという田舎についてもうちょっと想像膨らませたいんですが、"個性"を恐れた無個性や弱"個性"の者が安全を求めて集まった地域とかなんでしょうか。

 それならスピナーが忌避されるのも無理ないですが、やーでもなぁ…スピナーからしたらたまったもんじゃないよな…。

 

 僕も以前スピナーがマンダレイの台詞に照れてた時に童貞とかネタにしてましたけどね、でも今回彼の過去を知ったら簡単には茶化せなくなった。

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 今までその容姿をdisられてきた者が不意にそれを褒められたら動揺するのは当然です。童貞の心を弄んだマンダレイ、許すまじ…!(八つ当たり)

 

 そんな彼が今の連合に不満を抱くのは当然だよなぁ…。そも死柄木はステ様と思想が一致してた訳じゃないので、彼に感化されたスピナーとこうなるのは必然だったのかもしれませんが。

 ただ最後に彼自身が「ドン詰まりだった〜加速していく」と独白で語ってた辺り離反することはなさそう。

 

 前回ラストで荼毘の姿が見えなかったので別行動を取ってるのかと思ってたんですが、普通に死柄木たちと一緒にいたのか。

 脳無を管理してるドクターと接触するのはこれからみたいだし、となると荼毘がドクターからハイエンドを貰い受けるのもこの後の出来事みたいですね。

 

 スピナー→死柄木の不満が描かれたことで、更にギガントマキア戦が楽しみになってきました。

 単にマキアに自分はAFOの後継に相応しいと示すだけでなく、スピナーに対しても信用を取り戻す活躍を見せつける必要が出てきた。グングンハードル上がってるけど信じてるぞ弔くん!

 

 

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