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僕のヒーローアカデミア No.266 『Happy Life』感想

※この記事は「僕のヒーローアカデミア No.266 Happy Life」のネタバレを含みます。未読の方はご注意ください。

 

 ギリギリで焼き鳥コースを回避したホークス、さすが速すぎる男…!

 あの不意打ちだけで死んではいないだろうと思ってたものの、それはあくまでメタ的な予想に過ぎなかったんで、今回冒頭で早速無事を確認させてくれたのは有難かったです。

 もう見てるこっちが生きた心地しないよ…!

 

 荼毘の「ヒーローってのァ…咄嗟に人命救助しちまうもんだ」はあーもう何回目だよこの手のセリフ!!

 この作品のヴィランはほんっっっとヒーローの痛いところを執拗に突いてくるよなあ!ヴィランすらも救助対象、その条件での戦闘がいかにハードモードかまたも思い知らされた…!

 

 「ウソだろ!?」とホークスの回避に驚いてたから、トゥワイスが救かったのはあくまで結果論で、荼毘自身はホークスが救けると予測してた訳ではない?

 トゥワイスごと焼き尽くすつもりだった…とはさすがに考え難いし、単純に一刻を争う状況だったから深く考えず炎を放ったと見るべきか。

 

 「最初から何も信じちゃいねぇ」はそらそうやろなという感じ。ホークスの方も「」とそっけない反応で、まあそこに今さら驚くような関係じゃないよな…。

 荼毘はホークスに利用価値がなくなれば即切り捨てただろうし、そう判断される前に突入を決行できたのは幸運と呼ぶべきでしょう。

 

 「内臓を避けて骨と肉を斬った」今の言質とったからね!ホークス自身からこの言葉が聴けて安心した…!

となると前回の「どっちも諦めないから…殺すしかなくなる」はやっぱり単なる脅しだった訳だ。

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 この必死に非情に徹しようとする姿がすっげえ切ねえ…優しさの裏返しだよなあこれは。

 

 ただ怪我した状態でも分身を作れるなら、そしてトゥワイスほど仲間への想いが深いならこんなのは足枷にならない訳で…。

 そりゃ自分のことなんかとっくにどうでもいい人間が自分の怪我で止まらないのは当然だよなあ。ホークスの思った以上にトゥワイスは「諦めない人間」だった訳だ…。

 

 荼毘の励ましに対する「ああ」「ああ!」がしんどすぎてね…!しんどいんだけど、同時にとても輝いて見える。

 破滅に向かってるのは明らかなのに、トゥワイスにとってはこれが至高の幸福なのだと伝わって、もう何も言葉が出てこねえ…。ただ黙って見届ける事しかできないよこんなの…。

 

 外に出てトゥワイスの進行ルートを先回りしたのはシンプルながら心理の隙を突いた策ですね。空を飛べるという自分のアドバンテージをよく活かして相手を追い込めてる。

 広い空間を立体的に動き回れるホークスからすれば、トゥワイスが狭い室内から出てくれるならむしろ好都合って訳だ。

 

ホークスを一瞬見失ったのは広範囲に攻撃できる反面、敵から自ら視界を遮ってしまう荼毘の"個性"が原因とも言えるかな。

 エンデヴァーもプロミネンスバーン放った直後に避けてたフードにダメージ負わされたし、憎い親父(仮)と似たようなミスしてしまうとはまた何とも皮肉だな…。

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 「鷹見啓悟」というホークスの本名はすでにウルアナで明かされてましたが、下の名前が作中で出てきたのは今回が初めてですね。

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 荼毘がそれを知ってたのは…エンデヴァーの経歴を調べてるうちに例の窃盗事件の記録に行き着いたんだろうか。それとも荼毘自身があの事件の関係者とか?

 

 「何だ…」「何だこいつ」のコマを見るに、どうもホークスは炎を放つ荼毘の姿にデジャヴを覚えてるようにも見えるんですよね。

 だとするとホークスの方も荼毘、もしくはその関係者と過去に何か関わりがあったんだろうか…。ますますあの窃盗事件との関連が気になってきたぞ…。

 

 突入後も描かれてなかったスピナーの姿を地下の議事堂で確認。同じBROWNの隊長であるコンプレスと一緒にいないのは…別に深く考えるべき箇所ではないか。

 義爛の方は再臨祭以来の登場ですね。写ってないけど削がれた右手の指はリ・デストロみたいに義指で補ってるんだろうか。

 

 躓き転げ落ちてヴィランとなった男が追い詰められ、今度は物理的に落ちる…こんなに象徴的な光景も珍しい。

 ヒーローも戦士たちも皆戦いに夢中でトゥワイスに全然気づいてなさそうなのが、職を失い誰にも救けてもらえず独りで街を彷徨ってた頃とまんま同じ状況でやるせねえぇぇ…。

 

 ヒミコちゃんとコンプレスを拘束したのはNo.259とNo.262の集合イラストにもいたヒーローですね。

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 "個性"は両手の甲から出した謎生物を操る…まあ見たまんまか。モブにも関わらず敵側のネームドを一気に2人も捕らえるとはお見事…!まあそれが彼の死亡フラグになったとも言えますが…。

 

 「トガちゃんの"技術"」はデクやキュリオスに披露した姿をくらます術のことです。

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 このヒーローの"個性"は対象がどこにいるのか感知できるから、視界から外れるだけのこの技術じゃ逃れられないと。

 だとするとヒミコちゃんの確保はこのヒーローの担当と予め決められてたのかもしれない。

 

 「離せ」「離せ離せ」と躊躇なく刃物を刺すトゥワイスはまるで機械みたいな無機質さで、いくら仲間想いでも彼がヴィランなのは変わりないと再認識できる一コマでしたね…。

 その後のコンプレスたちの軽い反応も含めて、親しみ深くても彼らはやはり犯罪者なのだと重く受け止められた。

 

 そしてヒーロー側にもこの戦いで死人が出るかもしれないと意識させられた場面でもあります。まあ今回のようにモブならともかく、ネームドが死ぬかは定かではありませんが…。

 ただ気を緩められないのは確かです、誰が死んでもおかしくない前提で読む必要があると覚悟させられた。

 

 「自分の形を留めるのに…必死だ」であっ…と察せて、溶けて形を失う中でヒミコちゃんに「たすけてくれてありがとう」と感謝されればあ、ああ、あああぁぁ……。

 つ、ついに逝ってしまった…いつかその刻が訪れるとは覚悟してたけど、想定してたよりずっと早くやってきたな…(´;ω;`)。

 

 メタなこと言えばトゥワイスの退場はここが妥当ではあるのでしょう。仲間にも言われてた通り二倍は本当にチートでこれ以上作中で扱うには難しすぎますし。ナイトアイの時と同じパターン。

 ただ彼の死が遺したものが大きすぎて、今はそんな白けること言う気には到底なれないっすよ…。

 

 以前ヒミコちゃんが包んでくれたハンカチで顔を拭いてあげた、ってお返しがすっごい尊かったですね…!

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再臨祭でも拭こうとはしてたけど実際に拭いてる様子が描かれたのは今回が初めてのはず。

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 2人の救け合いを象徴するキーアイテムとしてこれが遺ったのは間違いなく救いですよ…。

 

 最後に得た答えが「自分より大事な仲間に恵まれた」だったのも納得するしかない結論でした。

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これデクの「恵まれ過ぎてる」と重なるセリフなんですよね…。

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 ヴィランもヒーローも仲間に感謝する精神は持ち得るという点で、やはり彼らを全く異なる存在としては語れないと痛感させられた。

 

 仲間を救け、そのことに感謝されて逝く…ってまさにヒーローと呼べる最期だよなあ。少なくともヒミコちゃんたちにとってトゥワイスは間違いなくヒーローだった。

 「俺は俺のことなんか」「とっくにどうでもいぃんだよ」は哀しすぎたけど、ここまで貫かれると讃えてあげたくもなるんだ。

 

 ヒミコちゃんが終始キョトンとしてたのも推せるポイントです。突然のことで事態を呑み込めず、トゥワイスが崩れ始めて漸く理解し、抱きしめた…って流れが絶妙だった。

 下手に泣かせたり聖母感を出したりしない、けれども暖かさは確かに伝わる反応がこのビターなENDに相応しかったです。

 

 ヒミコちゃんの「たすけてくれてありがとう」は前々回のホークスの「ありがとう」との対比だったのかな。

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 (少なくともトゥワイス視点では)ただ冷徹なだけの「ありがとう」と、感謝の気持ちが伝わる「ありがとう」。同じ言葉でも相手によって印象が全く異なる、尊くも辛くもある演出だ…。

 

 「運を持たずに生まれた」と自分の人生を悲観的に捉えてたトゥワイスが、「"運が悪かった"なんててめェが決めるな」と思えたのは喜ばしくも哀しくもあります。

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 「運が悪かった」はある種上から目線な発言とも取れるからなあ。救けを必要としない者には効果なくても仕方のない言葉だ。

 

 傍目には転落して迎えた破滅的な最期しか見えませんけど、満足そうなトゥワイスを見るととても軽々しくそうは言えませんね…。

 まともな人生を送る仁のifを見たくもありますが、彼自身が「これより最高な人生があんのかよ」と思ってる以上、それを望むことすら烏滸がましく感じられる。

 

 分身と同じように体が溶けて消失したのも不気味ではあったんですけど、同時にどこか穏やかな光景にも見えたんですよね。

 てっきり本物の体は普通に遺ると思ってたんでこの最期には意表を突かれた…。体が失われたことで唯一遺されたハンカチが強調されるエモいENDになってたと思います。

 

 マスクを被ってたのは「自分の形を留める」ために分身で体の表面を覆ってたからでしょうか。通常の分身は崩れるとき中の顔が見えることはないので、このトゥワイスが本物なのは間違いない…はず。

 まあ堀越先生が意図的に本物か分身か断定できないように描いた可能性もなくはないけど。

 

 逆に分身説を前提に考えるならその根拠はマスク以外だと出血がない、辺りかなあ。まあこれも出血の上から分身を覆って隠した…って一応本物説の辻褄は合わせられますが。

 やっぱり無理に結論を出す必要はなく、本物とか分身とか関係なく仲間を救けられた事実自体が尊いと考えるべきか。

 

 一方で手を下したホークスにはさらに傷が残る形となってしまったな…。ぼかされてたとはいえ、作中で初めて彼が殺人を犯す描写がなされたのが俄かには受け入れ難すぎる…。

 飛べるホークスがトゥワイスを落とすという残酷な対比よ…。堀越先生、どこまでも彼に業を背負わせてくるなあ。

 

 「高いとこから落ちたら死ねよなァ人として…」は我らがリーダー弔くんのセリフですが、トゥワイスの死はその伏線回収とも言えるかな。

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 キュリオスたちといい、あれ以降どうも転落死が普通の人間の最期として扱われてる気がする。だからこそ「飛べる奴は飛ぶべき」なんだろう。

 

 あえて一番救いのある可能性を考えるなら、ホークスに殺意はなく先刻までと同様に弱らせるつもりで刺しただけで、トゥワイスの転落は彼にとっても不幸な事故だった…って形になるのかなあ。

 真実はホークス本人にしか分かりませんが、確定するまではこの可能性に縋っていたいぜ…。

 

 逆にホークスが明確な殺意を持ってトゥワイスを刺した場合、やはり彼が人を殺すのは初めてじゃないと見るべきなんだろうか…?

 ジーニストについては僕は今もなお生存説を諦めてませんが、それ以前にヴィランを殺めた経験があってもおかしくはないと認識を改めさせられたのは確かだ…。

 

 

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