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僕のコミックアカデミア

僕のヒーローアカデミアという少年漫画を中心にその他漫画やアニメについて語る予定です。

【幼馴染考察】僕のヒーローアカデミア No.118 前編 『意味のない戦い』の爆豪勝己にとっての"意味"

※この記事は僕のヒーローアカデミア No.118 『意味のない戦い』 のネタバレを含みます。ご注意ください。

    【概要】

    記事を開いて下さりありがとうございます。

    この記事は少年漫画・僕のヒーローアカデミア No.118 『意味のない戦い』 における、サブタイトルでもある緑谷出久と爆豪勝己の『意味のない戦い』に、2人にとってどんな"意味"があるのかの考察・予想を全3本にわたって行う記事の前編です。

    なお、3本の記事の構成は以下の通りです。

  1. 前編 『意味のない戦い』の爆豪勝己にとっての"意味" (本記事)
  2. 中編 『意味のない戦い』の緑谷出久にとっての"意味"

    comiaca.hatenablog.com

  3. 後編 『意味のない戦い』の2人にとっての"意味"

    comiaca.hatenablog.com

 

◆1.『意味のない戦い』の爆豪勝己にとっての"意味"

    『意味のない戦い』の緑谷出久と爆豪勝己の2人にとっての"意味"を導き出すために、この記事では1つ目の段階として、まず『意味のない戦い』の爆豪勝己にとっての"意味"の考察を行います。そのために、No.117『てめェの"個性"の話だ』とNo.118『意味のない戦い』におけるかっちゃんが取った『方法』『目的』の不一致について考えていきます。

    不一致とは何か、ということの把握のためにまずそれぞれを説明します。

    『方法』とは彼が自分から挑んだデクとの"戦い"のことです。

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    『目的』とは彼が語った、デクの憧れ、つまり"救ける"という憧れを確かめるというものです。

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    どう考えても『方法』『目的』が一致していません。

    "戦い"という『方法』では、デクの"救ける"という憧れを確かめるという『目的』を果たせないし、デクの"救ける"という憧れを確かめるという『目的』は、"戦い"という『方法』では果たされません。

    そこで、彼が"戦い"という『方法』で本当はどんな『目的』を果たそうとしてるのかデクの"救ける"という憧れを確かめるという彼の『目的』は本当はどんな『方法』で果たされるのかを考え、その答えから爆豪勝己にとっての『意味のない戦い』"意味"を考察します。

 

◇緑谷出久との"戦い"という『方法』で果たされる『目的』

 今回かっちゃんは勝負の最中、デクに対して「なのに何で俺はっ 俺は…オールマイトを 終わらせちまってんだ」「俺が強くて 敵に攫われなんかしなけりゃ あんな事になってなかった!」「オールマイトが秘密にしようとしてた… 誰にも言えなかった! 考えねえようにしてても…フとした瞬間沸いてきやがる!」と、今まで誰にも言えなかった自分の心情を打ち明けました。彼のこの台詞によって、オールマイトが引退せざるを得なくなった原因の1つに自分がなってしまったことに対する罪悪感と、オールマイトが秘密にしてきたOFAという個性の情報を意図せず自分が知ってしまったことへの責任感を、かっちゃんが神野事件以来ずっと抱え込んで悩んできたことが明らかになりました。そして彼は続けてこう言います。「どうすりゃいいか わかんねんだよ」と。

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    しかし、「分からない」と言いながらも、彼は実際に今、デクに対して"戦い"という方法を取っているのです。つまり彼の今行っている"戦い"という方法は、彼がどうしたらいいのか分からないなりに取ったものということになります。そしてここで重要なのは、何故その分からないなりに取った方法が、"戦い"というものなのか、ということです。

    その理由を知るためには、彼のヒーローについての価値観を理解する必要があります。以下は、期末試験における回想で描かれた、幼少期のかっちゃんがテレビに映るオールマイトを応援している場面です。

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    この台詞によって、かっちゃんがオールマイトの"勝つ"という姿に憧れを見出したことが分かります。そしてこの"勝つ"という憧れを、彼が現在に至るまで信じ続けていることが、この回想を行った期末試験での台詞から分かります。

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 この幼少期と現在の描写から、オールマイトの存在を知って以来、かっちゃんはオールマイトが与えてくれたこの"勝つ"という憧れを信じて努力を重ねることで、雄英に入学し、その後も体育祭や期末試験、敵の襲撃といった様々な困難を乗り越え、そして現在に至るということが分かります。つまり、オールマイトが与えてくれたこの"勝つ"という憧れを信じ続けてきたからこそ、現在の爆豪勝己が存在すると言えるのです。

 しかし合宿での突然の襲撃と誘拐によって、自分のせいでオールマイトが自分に"勝つ"という憧れを与えてくれたときの、かつての姿のままでいることはもうなくなってしまいました。そしてそれと同時に、オールマイトが自分とは異なる"救ける"という憧れを持つデクにOFAという個性を託したこと、それがオールマイトの力が衰えるきっかけであることを意図せず察してしまいます。

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    これらの事実を察してしまったとき、彼が「自分に"勝つ"という憧れを与えてくれた姿と力を放棄してまで、オールマイトは自分とは異なるデクの"救ける"という憧れの方を選んだ」と考え、自分の"勝つ"という憧れを否定されたと感じたであろうことは、想像に難くありません。そして先述の通り、"勝つ"という憧れを信じ続けてきたからこそ現在の自分が存在する爆豪勝己にとって、その"勝つ"という憧れを否定されることは、自分のこれまでの努力の全てを否定されることと同義なのです。このことは、前回No.117『てめェの”個性”の話だ』における、彼の「てめェの憧れの方が正しいってンなら じゃあ俺の憧れは間違ってたのかよ」という台詞に表れています。

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    この出来事を受けて、かっちゃんは「自分のずっと信じ続けてきた"勝つ"という憧れが否定されなければならないほど、デクの"救ける"という憧れはオールマイトにとって正しいものなのか」ということを確かめる必要が生まれました。そして、だからこそそのことを確かめるために、彼は"戦い"という方法を選択したのです。何故なら、"戦い"とは相手と勝敗を付けるために行う行為であり、かっちゃんの信じる"勝つ"という憧れを体現できる唯一の『方法』だからです。

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    つまり、爆豪勝己は緑谷出久に対して"戦い""勝つ"という『方法』によって、自分の"勝つ"という憧れを体現してみせることで、自分が信じてきた"勝つ"という憧れの正しさを証明する、という『目的』を果たすことを決断したのです。

 

 ◇デクの"救ける"という憧れを確かめるという『目的』を果たす『方法』

     前項では、かっちゃんが自分の信じてきた"勝つ"という憧れの正しさを確かめるには、実際に"戦い"という方法で"勝つ"しかないということを述べました。それと同じように、デクもまた自分の信じてきた"救ける"という憧れの正しさを確かめるには、実際に誰かを"救ける"という方法しかないと考えられます。そしてそれをデク自身ではなく、他者の視点から、つまりかっちゃんが確かめるためには、デクが実際に誰かを"救ける"様子を見る必要があるということになります。

    なのでまず、No.117~118におけるデクとかっちゃんの状況が、かっちゃんにとってデクが実際に"救ける"様子を見ることができる状況なのかということを明らかにします。

    かっちゃんは前回No.117『てめェの”個性”の話だ』において、デクに対して以下のことを行いました。

  • 深夜、デクをグラウンドβに連れ出した。

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  • オールマイトの個性がデクに譲渡されたことに自分が気付いたことを話した。

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  • デクに、お前の"救ける"という憧れの正しさを「確かめさせろ」と要求した。

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 これらのかっちゃんの行動の意味を1つ1つ解読すると次の通りになります。

    深夜の誰もいないグラウンドβにデクを連れ出すことで、デクにとって目の前に"救ける"対象となり得る存在が自分以外にいないという状況をまず作り出した。その後、オールマイトからの個性譲渡の件に自分が気付いたことを話すことで、自分がデクの”救ける"という憧れの正しさを確かめる必要があることを示し、そして実際に「確かめさせろ」と要求することで、「今からお前は"救ける"側だ」とデクに認識させようとした。

    デクにとって目の前に"救ける"対象となり得る存在が自分以外にいないという状況で、デクに自身を"救ける"側として認識させようとしたと行動から、かっちゃんは自分自身がデクに"救けられる"対象となることによって、デクの"救ける"という憧れの正しさを確かめようとしたということが読み取れます。つまりNo.117~118においてかっちゃんは、デクに"救けられる"ことそのものを体験できる状態、すなわち見るよりもさらに詳しくデクの"救ける"という憧れの正しさを確かめることができる状況にいると言えます(なお、ここで述べたかっちゃんの行動の意味に対して、かっちゃん自身がどこまで意識的だったのか今知る術はありません)。

 

 しかし"救けられる"ための状況を完成させただけでは、かっちゃんがデクに実際に"救けられる"ためには不充分だと考えられます。何故なら状況とは別に、デクに"救けられる"ためには彼に"救けてくれ"という気持ちを示すことが必要だからです。その理由について説明するためには、デクの"救ける"という憧れに基づくその行動原理について理解していただく必要があります。

    第1話のヘドロ事件からずっと作中で何度も描かれてきた通り、デクは誰かの"救け"を求める声には必ず応えます。

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    しかしそれは逆に言えば、デクに自分の"救け"を求める声を"救け"を求める声として認識されなければ、デクに"救けられる"ことはなく、結果としてデクの"救ける"という憧れの正しさも確かめることはできないということになります。なので、かっちゃんがデクの"救ける"という憧れの正しさを確かめるためには、デクに自分の"救け"を求める声を"救け"を求める声として認識させるための、"救けてくれ"という気持ちを示すことが必要なのです。言い方を換えれば、自分の"救けてくれ"という気持ちをデクに示し、"救け"を求めることが、かっちゃんがデクの"救ける"という憧れの正しさを確かめることができる唯一の『方法』だと言えます。

    よって次は、かっちゃんにはデクに"救けてくれ"という気持ちがあるのかということを明らかにします。

    そのために注目するべきなのが、No.118におけるかっちゃんの言動・行動に対するデクの反応です。

    先述した通りデクは"救け"を求める声には(特にかっちゃんが対象の場合は)必ず応えます。

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    よって、No.118においてデクの反応が顕著に変化している場面があれば、それがデクが"救け"を求める声に応えた場面ということになります。そして、その場面を見つけることができれば、次にデクを"救け"を求める声に応えさせたかっちゃんの言動・行動を見つけることで、それこそがかっちゃんの"救け"を求める声であるということが連鎖的に分かるのです。

    それを踏まえてNo.118を読み返してみると、かっちゃんのオールマイトへの罪悪感や責任感を知る前のデクは"戦い"に対して消極的だったのに対し、

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    かっちゃん本人の打ち明けによってそれを知った後は積極的になり受けて立っていることから、 "戦い"に対するこの積極的な態度こそがかっちゃんの"救け"を求める声に対するデクの応えであり、

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    このオールマイトへの罪悪感や責任感の打ち明けこそが、かっちゃんがデクに"救け"を求める声そのものだと考えられます。

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    このことから、かっちゃんはオールマイトへの罪悪感や責任感から"救けてくれ"という気持ちを抱いており、それを自ら告白して"救け"を求めたということは、彼は今デクに"救けられる"ことを望んでいるということが分かります。

 

    つまり、爆豪勝己は緑谷出久に対してオールマイトへの罪悪感や責任感を打ち明けるという『方法』で、その罪悪感や責任感から緑谷出久に"救けられる"、という『目的』を果たそうとしているのです。

 

◇『意味のない戦い』の爆豪勝己にとっての"意味" 

    これまでの考察で、現在かっちゃんが以下の2つの『目的』を抱いていること分かりました。

  • 緑谷出久に対して、自分の"勝つ"という憧れを体現してみせることで、自分が信じてきた"勝つ"という憧れの正しさを証明する。

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  • オールマイトへの罪悪感や責任感から緑谷出久に"救けられる"。

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    つまり、この『意味のない戦い』は爆豪勝己にとって、

    今まで幾度となく畏怖と拒否を繰り返してきた緑谷出久の"救ける"という行為を受け入れることによって、失いかけていた自分の"勝つ"という憧れへの信頼を取り戻し、さらなる確信を得る

    という"意味"があると言えます。

 

ここまでご付き合い下さりありがとうございました。

次の  中編 『意味のない戦い』の緑谷出久にとっての"意味" に続きます。

 

編  『意味のない戦い』の緑谷出久にとっての"意味"

comiaca.hatenablog.com

 

後編 『意味のない戦い』の2人にとっての"意味"

comiaca.hatenablog.com

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